ヒットマンとその女 番外編
2002年9月17日この日記を初めてよまれる方は、
先に下の9月15日の日記を読まれることをお勧めいたします
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あるとき、もの凄い暗い方が面接にやってきました。
身体から放つオーラはすべての者を暗い気分にさせてしまうほどで、
「私が世の悲しみや、憎しみを一手に引き受けます ふふふ・・・」
くらいの勢いでした。
しかしながら、どこかにとてつもない魅力を感じ、即お引取りはナシということで
しばしこの女性と話をしてみたくなった。
彼女の名はサチエ
本名も幸恵
嘘のようでほんとにこの何処からどう見ても不幸引き受け人にしか見えないこの女性の名は
「幸恵(さちえ)」当時26歳
「風俗は初めて?」
「・・・はい。」
「この仕事辛いょ」
「・・・はい。」
「なぜこの仕事を?」
「・・・どうしても・・お金が・・ほしくて。」
ぽつり、ぽつりと話す雰囲気になぜか引き込まれます
物憂げな雰囲気、悲しいオーラ・・・
彼女が何を背負って生きてきたら、こんな悲しい目つきになるのか?
ふと、そんな事を考えずにはいられない・・・そんな女性でした。
話を聞くうちに、彼女をここまで暗くさす原因が少しずつわかってきます
全く働かない夫・・・
病弱の母・・・
生活費に母の医療費とそれを一手に引き受けていること
夫から暴力を受けていること
あらゆる『苦』がこの女性にはのしかかっている
しかし、月々に最低限度必要な金額を一緒に計算すると
なにも風俗で自分を切り売りすることはないのではないか?
とも思った。
「何か趣味とか、これは大好き!って事ありますか?」
「・・・」
「・・・」
「・・・劇団に入っています」
「え?劇団?」
彼女は小さな劇団に所属しており、
自分が何かの『役』を演じている時だけ自分を忘れることができるのだという
そして、劇団に残る為にも、自分は夜にしか働く時間がないということ
自分が自分を忘れてしまわない為にも劇団を続けて行きたいのだという。
よくよく考えたあげく、風俗に身をおくことを決意したのだそうだ・・・
「演技が好きなんですね」
「・・・はい」
なるほど!だからこそこの表情が出来るのか 彼女を小説風に書くと
黒目がちな眼差しで遠くを見つめ、どこか物憂げで、しかも妖艶な雰囲気をかもしだす女性(B級エロ小説風)なのだ
ならば、慣れないこの仕事、彼女が少しでも働きやすい環境を
てな事で、彼女専用の広告を打つことにした。
その広告を観て店に電話をかけて来たお客は、すべてを優先し彼女の仕事とする
これはうちで働いていた全ての女の子にそれぞれ、彼女自身にあった専用のコースを作っていたのですが、
この不幸を背負って来たその雰囲気、そして抜群の演技力、それを最大限に引き出そうではないか!
ということで、二人で幾多の話し合いをした結果、9/15日分の下記日記
『任侠デリヘル』
が完成したのであります。
最後にとある風俗専門雑誌に掲載した宣伝文句でも・・・。
一面「黒」のバックに「白」の文字で
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さよならも言えないで 別れたあの夜
今も夢に見る 雨の路地裏
ヤクザの女だから 涙は噛んでも
数える月日は 重くせつない
つばめ つばめ あの人の
淋しい軒端に歌っておくれ
海山へだてて いくとせ過ぎても
あたしはあんたを 待ってると
業界初、『任侠デリバリー』
悲しき女が貴方のもとに・・・
電話○○ー○○○○ー○○○○
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てな広告でした。
シリーズは計10本の台本を用意し
初めてのお客には、ただ「おぅ!」とか「すまない!」
のような単語だけを言ってもらえば、すべてを演技力抜群のサチエのアドリブがカバーするというものでしたが、
9/15日uPの台本あたりは常連さん用で、女性に会うまでに台本を渡し、
客も長い台詞をしゃべるという本格的な内容でした。
一度その現場を見てみたかったのですがね(笑)
彼女はその後、約半年である程度のお金を貯め、
旦那と離婚をし笑顔で店を去って行きました
めでたしめでたし。
http://www.vesta.dti.ne.jp/~hmhiro/
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