『ブリ照り恋物語』その2
2002年12月8日「あっ・・っ。どうぞ」
彼女の一言にすこしばかり動揺した。
「じゃぁ、わたし おすすめのブリ下さい!」
「あぃよ〜っ!3番さんブリ照り1丁ぅぅ!」
客はボクと彼女の二人だけだと言うのにおかみさんの声はでかい。
「おぃ!これでブリおしめぇだぞ!」
厨房の旦那から初めて返事が返って来た。
やはり何かが狂い始めている・・・。
「よくこの時間にいますよね♪やっぱりご飯は一人で食べるよりも、二人の方がおいしく食べれるかなって思って。ご迷惑じゃないですか?・・・相席。」
「いや全然。ここに来る客は皆家族のようなものだからね」
「ほんと、ここってあたしアットホームな感じで大好きなんです!
しかもこの値段で、すっごくおいしいし♪」
いい感じじゃぁないか・・・。
間近で見る彼女はますます美人だ。
テーブルが5つ程あるだけの狭い店だが、その1つの席に赤の他人の男女が向き合って座っている。いい感じじゃぁないか・・・。
「はぃ おまちどぉぉぉ!
最後のブリが最後のお客に行ったょ!
あんた達ますます運がいいょ!
ブリってのは出世魚でね、ワカシ→イナダ→ワラサ→ ブリ って名前変えて行くんだよ!カップルでブリ食べたら、友達から恋人になって、行く先は結婚まで行けるって言い伝えもあるめでたい魚なんだ!あんた達もここで会ったが何かの縁だよ!がははははっ!」
たまには良いこと言うじゃねーか看板娘!
「もぅ!おかみさんったら!」
彼女はマンザラでもない様子。
これはますます何かがいつもと違う。
しかもとてもとてもイイ!風が吹いている
ボクと彼女はお互いの話をしながら、
いつもより更に美味しい夕食を食べた
そして二人揃って店を出る。
「毎度〜ありがとさ〜ん!明日もきんしゃい!」
軽いノリの看板娘だけはいつもの通りだった。
店を出ると冷たい北風が頬に射す。
が、なぜだか寒さは感じない・・・。
「明日はお仕事お休みなんですか?」
なぜボクが平日に仕事が休みだって事を知っているのだろう
「そうだけど、なぜそれを?」
「いつもその曜日はここに来ないから、仕事がお休みで家でご飯を食べるのかなって♪」
「うん。その通り!よく分かったねぇ」
「えぇ。だって、わたしがここに来る目的はおいしい定食と、あなたに会うためだもの♪」
12月にボクの春が来た・・・。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::
みたいな出会いは落ちてませんか!?
でり君毎週木、土 以外の毎日は
「マルトミ食堂」にて一人ぼっつで待機中!
『ブリ照りの恋』参加ご希望の方はどしどしマルトミまで!(爆)
コメント