「あっ・・っ。どうぞ」






彼女の一言にすこしばかり動揺した。

「じゃぁ、わたし おすすめのブリ下さい!」




「あぃよ〜っ!3番さんブリ照り1丁ぅぅ!」




客はボクと彼女の二人だけだと言うのにおかみさんの声はでかい。



「おぃ!これでブリおしめぇだぞ!」



厨房の旦那から初めて返事が返って来た。
やはり何かが狂い始めている・・・。


「よくこの時間にいますよね♪やっぱりご飯は一人で食べるよりも、二人の方がおいしく食べれるかなって思って。ご迷惑じゃないですか?・・・相席。」


「いや全然。ここに来る客は皆家族のようなものだからね」

「ほんと、ここってあたしアットホームな感じで大好きなんです!
しかもこの値段で、すっごくおいしいし♪」


いい感じじゃぁないか・・・。
間近で見る彼女はますます美人だ。
テーブルが5つ程あるだけの狭い店だが、その1つの席に赤の他人の男女が向き合って座っている。いい感じじゃぁないか・・・。




「はぃ おまちどぉぉぉ!
最後のブリが最後のお客に行ったょ!
あんた達ますます運がいいょ!

ブリってのは出世魚でね、ワカシ→イナダ→ワラサ→ ブリ って名前変えて行くんだよ!カップルでブリ食べたら、友達から恋人になって、行く先は結婚まで行けるって言い伝えもあるめでたい魚なんだ!あんた達もここで会ったが何かの縁だよ!がははははっ!」









たまには良いこと言うじゃねーか看板娘!





「もぅ!おかみさんったら!」






彼女はマンザラでもない様子。





これはますます何かがいつもと違う。
しかもとてもとてもイイ!風が吹いている


ボクと彼女はお互いの話をしながら、
いつもより更に美味しい夕食を食べた

そして二人揃って店を出る。

「毎度〜ありがとさ〜ん!明日もきんしゃい!」

軽いノリの看板娘だけはいつもの通りだった。
店を出ると冷たい北風が頬に射す。
が、なぜだか寒さは感じない・・・。


「明日はお仕事お休みなんですか?」

なぜボクが平日に仕事が休みだって事を知っているのだろう






「そうだけど、なぜそれを?」





「いつもその曜日はここに来ないから、仕事がお休みで家でご飯を食べるのかなって♪」


「うん。その通り!よく分かったねぇ」










「えぇ。だって、わたしがここに来る目的はおいしい定食と、あなたに会うためだもの♪」









12月にボクの春が来た・・・。

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