火曜サスペニス劇場「トラック野郎の男」その3
2002年12月12日トラックの運転席をノックすると、窓が下がり矢野鉄二が顔をのぞかせた。
「いやぁ、わざわざスマンかったな!アンタ電話の兄ちゃんか?まぁ助手席乗りぃな!」
とりあえず助手席に乗り込む。
彼の言っていた通り、以外と広い運転席。
綿のズボンにランニングシャツというトラック野郎の定番のイデタチ。
「ホンマに来てくれる思わなんだゎ!いやぁ〜ありがとありがと!ここの前もカーテンで隠せるからOKやろ?外からは誰も見えんからな!なっ!なっ! でも女の子が気になるでぇ〜。どんな子が来てるん?」
矢野鉄二はやはり感じのいい男であった。
オトコが好きなタイプの男といった感じか?
連れにしたいような人間。
「女の子はシホと言う、うちのNO1をご用意しました。
では念の為に免許証だけお預かりしてもいいですか?
それと、このトラックに無線が付いてますよね?無線のスイッチはオフにして下さい。」
免許証を預かっておけば、まぁ何かが起こるなんて事はほぼ無い。
無線の電源も切れていないと、他のドライバーにダイレクトに聞かれていて、話のネタにされるかもしれない。考えられる障害は全て排除する。こちらは二人の様子は聞くのだが・・・。
一旦自分の車に戻り、シホに大まかな客の情報を言い、仕事に就いてもらう。
シホが車を出ると、カバンに顔を近付け、盗耳君の感度を試す。
「あーあー!シホです。聞こえますかぁ??あーあー!」
手で聞こえてると合図を送るとトラックへと向かってゆく。
小さな体でトラックに乗り込む姿は何処からどう見ても変だ。
いわゆるイマドキの容姿の女が大型トラックに乗り込むハズがない。
「初めまして。シホと言います。今日はお電話ありがとう御座いました」
「いゃーーー!驚いた!まさかこんなベッピンさんが来るなんて思わんがね・・・。こちらこそ、わざわざありがとさん。まぁコーヒーでも飲んでぇ、いゃ〜。驚いたって」
風俗嬢を、ただの自分の欲望処理の道具として扱う客なのか、それとも一人の人間として扱ってくれるのかは、客の第一声で分かる。受付には低姿勢で電話をしてきた客が、女の子が部屋にやって来た瞬間にがらっと態度を変え、傲慢な態度に出る客は少なくはないというのが現実である。
この客は大丈夫。
まずシホの嫌がるような態度には出ない。
コースは30分コース。
時間までインター内で軽食でも食べる事にする。
シホは私に聞かれていると思い、いつもよりも張り切って仕事をするであろう。
普段からズバ抜けてサービスの定評のいい彼女なので、彼女の仕事に対して心配することは無い。
時間3分前にトラックの横でシホが出てくるのを待ち、
出てきたシホと入れ替わりでトラックに乗り込む。
「どうも本日はありがとうございました。免許証お返しします。」
「おぅおぅ。いやぁアンタ店長さんなん?ホンマありがと!あまりにベッピンで驚いたって・・・。次回はちゃんと自宅に呼ぶからなぁ!オレ西宮やけど来てくれんのか?いやぁ・・・驚いた。」
お客様に喜んでいただきお金を頂戴するのが、我々 なによりの幸せでございます。
車に戻ると、シホが尋ねてくる。
「でりさん。私の仕事どうでした?」
「どうだったもこうだったもなく、これは仕事なのだよチミぃ。まぁ仕事としては満点だったょ」
こうして今日も明日もデリヘルは西へ東へ向かうのであった。
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