「親分サン。ミカちゃんコレカラ ド なるデスカ・・・。」

みさとが一通の手紙を残し消えてしまった。
何かの事件に巻き込まれたと言うことはないようだが、
店の常連と駆け落ち同然に姿を眩ましたことに変わりは無かった。

しかもわが子を残して・・・。

「手紙にはいつ戻るとか、何処にいるとか書いてないしな
ミカをどうするとか、どうすべきかなんてなぁ・・・・。
ミカを仮に預かるといってももしミカに何かあったらウチじゃ責任取れないだろ?」

みさとが仕事に出ている間、当店【BRUTUS】で預かってはいたが、
いつ帰ってくるかも分からない『よそ様の子供』を四六時中ウチで預かることなんて出来ない。ましてや本当にみさとがミクを迎えに帰ってくるかさえ分からない。

それに当店【BRUTUS】は4歳の子供を育てる環境ではない。
なんといっても闇夜の欲望を満たすデリバリーヘルスの事務所なんだから・・・

「私もこんな風にして施設に連れてかれたのかなぁ・・。
親なんてホント勝手ね。」

シホがポツリとつぶやいた

麗華とシホは幼い頃に施設に預けられて育った。
この二人の前で返す言葉も無い

「自分の意思で出て行ったみさとのことは後から考えるとしてさ、
まずはミクが一番いいようにしてやらないとな。
ミクは何の罪もないょ。そろそろ午前の部が開店するからな、ひとまず今日の仕事に専念しようで。
シホと麗華は少し休んどきな。あかねは10時から受付してくれぇ。」

ぐったりと重たい体を事務所の屋上に持ってゆくと、
空はすっかりと晴れ渡っていた。

眩しすぎる太陽の横の、まだ消えきらない三日月が印象的であった。


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