デリヘル人情劇場 『絆』 その12
2003年3月15日「って言いヤスと親分サンはもう見当が付いてラッシャルんで?」
「さぁ・・・。どこまで糸を引いて、どこまで関わっているのか・・・・。
アイツが本当に関わっているのかさえ正直分かりません、アイツはなんと言ってもウチでもずば抜けて賢いヤツですからね。
私的には何なら関わっていてくれてれば嬉しい、そんな所です。」
勘蔵さんと私はおそらく同じ思いでいた。
何故ここまで失踪した二人のことが分からないのか?
ウチに出入りしている、麗華と勘蔵さんの身元引受人でもある『ののじい』こと鎌田のおやじは私立探偵をしている元刑事だ。
そのののじいが損益なしで必死に探しても見つからない、
となると、こちらの考えや行動が何処からか消えた二人に流れている?
従業員を疑いたくはない、しかし次第にそう思っていたのは私だけではなかったようであった。
おそらくミサキは何らかの問題に巻き込まれてウチを出て行った。
ミサキは特に多額の負債を抱えていたという訳ではない、となるとウチで働いて稼ぐ以上の金が必要になったのか?
そう考えるとその原因は一緒に逃げたウチの常連客であった男にあるだろう。
ではミクをわざわざウチに残して行ったのは何故か?
なぜ一緒に連れて行かなかったのか?
家族もろとも失踪したならウチが嫌になって単に飛んだと思い、ミサキを探すようなことはしないだろう。
ミサキはウチに対しての借金はない。
ミクを残したことにこそ意味があるのではないか?
子供を残して行かねばならないほどの相当危険な真似をしているのか、
それとも自身を探してもらいたいがためにミクを残したか。
しかしウチの誰かとミサキが連絡を取っているとするなら、後者はない。
「もしアイツとミサキが繋がっていないのなら、ミサキはもう二度と帰ってきませんね・・・。
命さえあるかどうか私には分かりません・・・。」
「アッシも親分サンと同意見デシ・・・。」
「しかしね、何の根拠も無い所でアイツを疑って掛かると一気にウチの従業員に不信感が流れますからね・・・・。
こういう失敗はあっという間に広がります
アイツだって消えた人間と糸を引いていたってバレたらどうなるかってことを一番知ってる人間です。
そんな簡単に尻尾出さないでしょ・・・」
「シッポ・・・。レイカイッコウニ話ワカラナイ、一体ナンノ話シテルデシカァ??」
「レイカは黙って聞いてなさい・・・。」
どうやら今回の事件は事の落しどころが一番の問題になりそうであった。
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