「親分さん、今姐さんがぁ少し風邪気味なもんで今日の仕事終わったら、明日から2日程休ませてほしいって言い残して客人の部屋に上がって行きャシたがぁ、
もしかするっテェと・・・。と勘蔵は思うんでヤスが」

 今回の出来事は幾つかの不明瞭な点があった。
我々は当店【BURUTUS】の従業員の中に、糸を引いている者がいるのではないか?
むしろ、この事態を収拾する糸口として糸を引いている人物がいてほしいとさえ考えていた。

「そうですか。
今日この客で彼女は終わりですので、勘蔵さん家までそのまま送ってやって下さい。」

「へい、承知シヤした。
それではアッシはってぇと、そのままマンションで張り込みイタシヤス。
ガラ(身柄)に変化があるときは連絡いたしヤス!」

「私も締めが終わったら行きますのですみませんがお願いします。」

「ヘイ。任せてクンナセイ」

なんだか気分は『太陽にほえろ』の様か?
少し古いと言うならば『あぶない刑事』 勘蔵さんがタカで私がユウジ
これも古いならば、『踊る大捜査線』 勘蔵さんが和久さんならば、やはり私は主役の織田裕二といったところであろうか・・・。

何にせよここで彼女に何がしろの動きが無ければ、我々の思惑は完全に潰れることとなる。

母と子を引き離す様な真似は決してしたくない。
しかし、何とかして今回の出来事に終止符を打ちたかった。
そのために従業員の反発は覚悟の上で、ミクを施設に預けると皆の前で発表をし、糸を引いているであろう彼女が動くのを待つことにした。
もしそれでもミサキが見つからなかったなら、本当にミクを施設に預けるしかない。

最後の賭けだった。

明日の無い街に太陽が昇る頃、一本の電話が鳴った。
電話の主は通称”ののじい” 私立探偵の鎌田のおやじさんであった。

「あののぉ、お前が探しとった二人の 男の方がのぉ、
もしかしたら居場所分かるかもしれんのでのぉ、今確認取ってるでのぉ、
まぁヒットする確立は五分五分ってところで考えててくれのぉ。」

何かが動き出す時はこういうモノだ。

止まっていた時間が動き出したのを肌で感じた。



コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

日記内を検索