「いやぁ、なんか全てま〜るく収まってよかったね♪」

「あかねに言われるとすっげぇ腹が立つんだよ・・・。」

その日店へ戻り、そのまま仕事に向かっている車内である。

「ミサキちゃんとミクちゃんの再会はさすがのアタシも涙が出たもんね!」

「今までの涙は偽モノかょ・・・。
それにお前があんな小細工しなけりゃこんなに大袈裟にならなくて済んだんだ!お前にはこれからさらにややこしい客をあてがって行くから覚悟しろょ」

「どんっ!と来い!」

もうこれ以上言う気力も失せるのである。

「一つ話が解決した勢いでもう一つも済ませてしまう?
ちょうどいい機会じゃない」

「・・・。
お前はCIAか!?いったい何モンなんだよ?
工事現場の監督みたいになんでもかんでも仕切るんじゃないょ」

すっかりミサキの話に気を取られていたが、あかねの言う通りもう一つ問題が残っていた。

「偶然にも今日はさとみちゃん後ろに乗ってるし、いいんじゃない?」

「だからうるさいって!小姑め・・・。」

さとみは神戸の達也兄の店からウチで働くように言われてやって来た。

いつも車内では窓を見つめ、笑った顔さえ見たことも無い。
客からの仕事の評価もかなり低く、かといって達也さんから預かっている身分なので対応に困っていた。

一体何を考えているのか解らないでいた時に、何気ない麗華の一言がある結論に達する引き金となった。

「まぁあかねの言う通りだな。
このテンションの上がりきった時にさらっと終わらすか!」

車内で自分のことが話題に上がっているにも拘らず、さとみは全く関心を示さない。
ただ後部座席で窓から暗闇を覗き込んでいるだけであった。

「麗華、またまた悪いけど今日これからのあかねの仕事はミサキに回してくれないか?ややこしい客が多いけど今回の罰だって言ってくれ!
それからさとみの仕事は入れなくていいから・・・。」

「アイヨ〜でやんす♪」

この言葉に少しさとみは反応したものの、やはり「どっちでもいい」といった表情だった。

麗華への連絡を終えると車をUターンさせ、高速に乗り込み目的地へと急ぐ

高速を降り暫らく走ると、 ”見覚えのある” 景色にさとみが動揺し始めた。

「あのぉ・・・・これから何処へ行くんですか?」

「どこでもいいんだよ」

「良い事ありません。やめて下さい・・・。
わたしちゃんと働きますので、言いつけるのは勘弁して下さい!」

「今更遅いんです。
それに達也さんにさとみの仕事のことを言いつけに行くんじゃない」

「じゃぁ何しに行くんですか?」

「君を兄貴の所へ帰しに行く」

「だから困ります!許して下さい!」

「心配すんなって!
今日のオレはいつもに増してノリノリなんだ!
悪いようにはしないって」

「そうよさとみちゃん。
悪いようにはしないゎよ♪」

そのあかねの口調が悪戯好きの口調であった。


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