「でりさん足震えた?
達也さん怖いもんね〜〜」

「あかねちゃん。
今日の僕はノリノリだって言っただろうが。
達也兄にビシッ!っと言ってやったに決まってるだろうが、
あかねにもオレの勇士を見せてやりたかったぞ!」

帰りの車内はいつもの【BRUTUS】に戻っていた。

この数ヶ月間様々な事が起こり、
一時は店が崩壊するのではないか?
そこまで思いつめた事もあった。
その張本人は横に座るヤツではあるが、責める気は無い。
コイツはこいつなりに考えて、行動した。
あかねとはこの店を立ち上げる時からの付き合いであり、一番信頼できる人間でもある。
最初は泣き虫だったあかねが、時とともに店の女の子に頼りにされ信頼されてゆく姿があった。

ほんのちょっとした過ちから今までの生活がガラッと変わり、
このような世界で働くしかなくなった人間は数多くいる。

そこから、また元の生活に戻れるかどうかは本人次第でしかない。

人間(ひと)が変わってしまうのに時間は必要無い。
が、元に戻るには時間と自覚が必要になると思う。

あかねは確実に私の知らない本来のあかねに戻っているのだろう。

事務所に戻ると
「みんなで焼肉屋【源八】に行ってます」
という置手紙があった。

店に入ると、

「親分さん、ご苦労さまでヤシタ!」

顔を紅く染めた勘蔵さんが迎えてくれた。

「でりサン!レイカの横空いといたアルョ!座ってクンナセ!」

相変わらず少々日本語のおかしい麗華が満面の笑みで言う

そして輪の中心にはミサキがいる。
彼女の胸にはこのドンチャン騒ぎの中、ぐっすりと眠るミクがいる。




騙されると気付きながらも男女の絆に溺れかけた者がいる。
どれだけ離れても母と子の絆を忘れない者がいる。
社会からどんな目で見られていようが仲間との絆を守る者がいる。
社会が忘れかけている絆に結ばれた仲間がある。



闇夜に生きる者達の生き様がここにある








「今日はオレのおごりだから特上カルビ15人前追加しとけ!!」







ここには『絆』がある







デリヘル人情劇場 『絆』
  

おわり。



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