デリヘル人情劇場 番外編『サクラサク』 その1
2003年4月30日最近無性に我が第六感がビシバシ冴えるのだ
普段なら絶対に取ることの無い見知らぬ番号通知の着信を
冴え渡る感任せに取る
「あのぉ、多分知らないと思うんですけど、
私は知ってるんです」
ビシバシ冴え渡る感は思い違いか!?・・・。
「は?」
「知らなくてもいいんです。
というか、知らなくて当然なんです」
「は?もしもし?どちらさん?」
「多分知らないと思います」
「ご用件は?」
「相変わらずお元気そうですね」
なにげにイヤミか???
「どこかで会ったことある?」
「いえ、知らなくてもいいんです」
やはりビシバシ感が冴え渡る
「ほぅ・・・。久しぶり!」
人の声とは一度聞くと忘れないのは昔の商売の賜物か
「私が誰だか分るんですか?」
「記憶の底から甦えってきた気がする」
が、名前がどうしても思い出せないでりまさと。。。
----------3年前-----------------
「でりさん、面接希望の電話デスケレドデスガ、どうしますか?」
「じゃぁ今日の8時に事務所に来ていただいて」
「アイヨ〜でし」
面接希望でやって来た子は、自称18歳の
優希と名乗る女の子だった。
見るからに「女の子」という表現がぴったりの、目を細めてフィルターを掛けて見るとどことなく「後藤マキ」似の女の子だった。
「どうしてこの業界で働きたいの?」
「大学の学費を貯めたいからです。」
少し感心したでりまさと当時25歳
「でも、普通のバイトでも頑張れば学費くらいなら貯めれるんじゃない?オレもそうしたしね」
「でも風俗の方が稼ぎがいいから」
「稼ぎは良くても、悪い事もいっぱいあるよ、この世界は」
「例えば?店長さんに襲われるとか??」
感心したのを即座に取り消すでりまさと当時25歳
「それはない!」
「じゃぁここで働かせて下さい」
「わかった。それじゃぁまずあなたの身分を証明するものを見せて」
「持ってません」
「じゃぁ駄目だね。帰りなさい」
「いやです」
小生意気なヤツだが、ウチの雰囲気には合うかもしれないと思った。
「君まだ18だろ?そんな微妙な年齢は必ず身分証明がいるんだよ。じゃないと困った事になってからでは遅いからね」
「困ったことってなんですか?」
「そこの『オジサン』が鉄のワッカをかけられてネ、動物園ノ檻みたいなトコロに入るノヨ!」
横槍を入れる受付嬢麗華当時23歳
その麗華がこっちに来るようにと手招きをする。
「でりサン。あのかばんヨク見るアルョ〜!」
小声でささやき指を刺すカバンをよく見る
「・・・。サンキュ麗華」
「優希ちゃんて言ったね?もう遅いから帰りなさい」
「子供扱いしないで下さい!」
「子供やん。。」
「子供じゃありません!」
「明日も『高校』だろうが。早く帰っておねんねしなさい!」
言葉を失う優希
「あのねぇ、君のそのデッカイかばんの中に入ってるのは何故かまたカバン。。。しかもそのカバンはどう見ても高校の通学カバンだろ??
おじさんの目は節穴じゃぁないんだよ!」
節穴だらけのでりまさと当時25歳は節穴じゃぁない受付嬢の眼力に助けられた。
「明日また来ます」
優希はその日はそう言って渋々帰って行った。
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