再UP『熱い紅茶をご一緒に』
2003年5月1日今日はHP「日刊でりぃ新聞」の編集部の面々と共に、京都の「非公開文化財特別拝観」という何とも大それた漢字いっぱいの催し物に大徳寺唐門を観に行って参りました。という事で日記の続きを書こうかと思ったのですが、異常に疲れたのでやめにします(オィ!)
その代わりに、相互リンクしていただいている【るっち】の日記を見て始めて気が付いた、いつの間にやら上書き消去されていた
「熱い紅茶をご一緒に」
を再アップということで・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつかの日記に、
私は死神と呼ばれています。
そう書いた事を覚えています
いつも思う事。
「人が本当に死ぬ時は、人に忘れられた時」
前回の夜勤はとても静かな夜でした。
不思議なくらいにナースコールが鳴らずとても平和でした。
22時から深夜2時までは一緒に夜勤に入るパートナーが休憩時間に入るために、職員は私一人になります。
この時間が夜勤勤務の中で、一番しんどい時間帯なのですが、その日は皆無と言ってよいくらいにコールが鳴りませんでした。
<22時30分>
一人の利用者さんがステーション前に歩いてやってこられました。
「どうしても寝れなくて寂しいからここに居させてちょうだい」
そうおっしゃり、ステーション前のソファーに腰掛けられました。あまりに静かな夜勤であったために、する事も無く時間を余していたので、その利用者さんに紅茶を一杯入れ、二人でソファーに座りました。
「紅茶美味しい?」
「紅茶なんて何年ぶりだろう・・・。おいしい
でも、今度入れてくれる時はもっと熱いのをちょうだいね」
やけどを気にした私は少し氷を入れて温めにしていた。
「じゃぁ今度は熱々のやつをいれます」
その方は最近少しADL(日常生活動作)が低下しており、気をつけるようにという申し送りがあった方であり、寝れないという事に心配をし何とか部屋に戻って横になり体を休めてもらおうとするも、どうしてもソファーを離れようとしませんでした。
その後も他の利用者さんからのコールはなく、その方とお話をしていました。
<午前0時前>
その方は自分の幼い頃の話、青春時代に恋人が戦死をした話、再婚し辛い生活が続いた頃の話、ここに来る切欠となったお話・・・
ご自身の思い出の全てを話し始められました。
その頃から4時間ほど前。
消灯前、フロアーの利用者さんの就寝準備を終え手洗いと消毒をしていた時に、ステーションから黒い影が利用者さんの部屋の方向へと消えてゆくのが見えた(見えた気がした)
「○○さん、今黒猫が誰かの部屋に入っていくみたいにみえました・・・。」
「もう!でり君!怖いこと言わないで!縁起でもないゎよ・・・」
もう一人の夜勤の職員とそんな会話をしたをの思い出した。
私、人が見えないものが見える事があるんです
いつかの日記にそう書きました。
人の人生の最後に立ち会う機会が他人よりも極端に多い私は、ソファーで自分の人生の思いでを必死に語りかけるその利用者さんの姿とその黒い影の事が重なり合いました。
人が本当の死を向かえる時は、自分がすべての人の記憶から消えてしまった時
その方は私の中にご自身の記憶を残したいかのように、ご自分のことをずっと話しておられました。
「もう遅いからベットに帰って目を瞑るだけでもいいから横になって体休めて下さい」
そう言うと、その方は
「じゃぁ私が寝るまでベットの横に居て」
そう言って聞きませんでした
<午前1時>
根負けした私は、相変わらずコールもなく静かな夜だったので、その方と一緒に部屋へ行き、私はベットの横に椅子を置いて手を握って傍に居ました。
寝たかな?と思い、手を離すと目を開け「まだ寝てないょ」と言う利用者さん。笑ってもう一度手を握り、ゆっくりと今度は私の幼かった頃の話をしました。
<午前1時半>
その方はやっと眠られました。
そして寝言か意識があったのかは分りませんが、一言
「疲れたねぇ、もうそろそろいいですか?」
そうおっしゃりました。
なんとなくその方のいいたい事が分りました。
「疲れたネェ、でももう少しがんばらなくっちゃね」
私はそう答えました。
夜勤明けの2日後、その方は体調を悪くされ病院へと行きました。
排便がうまく出来ずに腸にガスと排泄物が溜まってしまっていました。
処置をして少し落ち着かれたとの事だった。
しかし本日、その方の人生が終わられたと聞きました
他の職員さんは大変驚いていましたが、
私は冷静に受け止められました。
私、死神と呼ばれています。
人が死ぬ時は、人に忘れられた時
彼女の人生は終わっても、まだまだまだまだ
あなたに身寄りがおられなくても、あなたの人生の記憶は私の中に残っています。
だから大丈夫ですよ。
ゆっくりと横になって体を休めてくださいな
熱い紅茶を入れてあげれないのが唯一の私の心残りです。
合唱
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
LINDY様
新規お気に入り登録有難うございました。
ご挨拶はあらためて後日させて下さい。
デリヘル人情劇場 番外編『サクラサク』 その1
2003年4月30日最近無性に我が第六感がビシバシ冴えるのだ
普段なら絶対に取ることの無い見知らぬ番号通知の着信を
冴え渡る感任せに取る
「あのぉ、多分知らないと思うんですけど、
私は知ってるんです」
ビシバシ冴え渡る感は思い違いか!?・・・。
「は?」
「知らなくてもいいんです。
というか、知らなくて当然なんです」
「は?もしもし?どちらさん?」
「多分知らないと思います」
「ご用件は?」
「相変わらずお元気そうですね」
なにげにイヤミか???
「どこかで会ったことある?」
「いえ、知らなくてもいいんです」
やはりビシバシ感が冴え渡る
「ほぅ・・・。久しぶり!」
人の声とは一度聞くと忘れないのは昔の商売の賜物か
「私が誰だか分るんですか?」
「記憶の底から甦えってきた気がする」
が、名前がどうしても思い出せないでりまさと。。。
----------3年前-----------------
「でりさん、面接希望の電話デスケレドデスガ、どうしますか?」
「じゃぁ今日の8時に事務所に来ていただいて」
「アイヨ〜でし」
面接希望でやって来た子は、自称18歳の
優希と名乗る女の子だった。
見るからに「女の子」という表現がぴったりの、目を細めてフィルターを掛けて見るとどことなく「後藤マキ」似の女の子だった。
「どうしてこの業界で働きたいの?」
「大学の学費を貯めたいからです。」
少し感心したでりまさと当時25歳
「でも、普通のバイトでも頑張れば学費くらいなら貯めれるんじゃない?オレもそうしたしね」
「でも風俗の方が稼ぎがいいから」
「稼ぎは良くても、悪い事もいっぱいあるよ、この世界は」
「例えば?店長さんに襲われるとか??」
感心したのを即座に取り消すでりまさと当時25歳
「それはない!」
「じゃぁここで働かせて下さい」
「わかった。それじゃぁまずあなたの身分を証明するものを見せて」
「持ってません」
「じゃぁ駄目だね。帰りなさい」
「いやです」
小生意気なヤツだが、ウチの雰囲気には合うかもしれないと思った。
「君まだ18だろ?そんな微妙な年齢は必ず身分証明がいるんだよ。じゃないと困った事になってからでは遅いからね」
「困ったことってなんですか?」
「そこの『オジサン』が鉄のワッカをかけられてネ、動物園ノ檻みたいなトコロに入るノヨ!」
横槍を入れる受付嬢麗華当時23歳
その麗華がこっちに来るようにと手招きをする。
「でりサン。あのかばんヨク見るアルョ〜!」
小声でささやき指を刺すカバンをよく見る
「・・・。サンキュ麗華」
「優希ちゃんて言ったね?もう遅いから帰りなさい」
「子供扱いしないで下さい!」
「子供やん。。」
「子供じゃありません!」
「明日も『高校』だろうが。早く帰っておねんねしなさい!」
言葉を失う優希
「あのねぇ、君のそのデッカイかばんの中に入ってるのは何故かまたカバン。。。しかもそのカバンはどう見ても高校の通学カバンだろ??
おじさんの目は節穴じゃぁないんだよ!」
節穴だらけのでりまさと当時25歳は節穴じゃぁない受付嬢の眼力に助けられた。
「明日また来ます」
優希はその日はそう言って渋々帰って行った。
マルトミ食堂は私の行きつけの食堂です
2003年4月29日日記を辞めたと一部のみなさんに思われている今日この頃です。
皆様お元気そうで何よりでしゅ
私は居た堪れない程の下痢にやられ、
新型ウイルスに感染でもしてしまったのか!?と思うほどに苦しんでおりました。。。
やっと下痢便が軟便へと変わりつつある中、
春恒例のホームページリニューアルに取り掛かっておりました。
あのなんとかとか言うアレはどうなったんだ!
なんてメールは完全無視と決め付けて、
半月を要した工事もほぼ完了しました。
相変わらずの自己満足サイトですv
桜が咲き終わる頃には・・・
と言っていたアレもそろそろ書かなくては・・・
と思う今日この頃、がんばります(たぶん)
なんしか書きたいことがてんこ盛りにモリモリなんですが、何から書いてよいのやらという事でこんな事を書いてみました。
最後に一言。
マルトミ食堂は私の行きつけの食堂です
では。
皆様お元気そうで何よりでしゅ
私は居た堪れない程の下痢にやられ、
新型ウイルスに感染でもしてしまったのか!?と思うほどに苦しんでおりました。。。
やっと下痢便が軟便へと変わりつつある中、
春恒例のホームページリニューアルに取り掛かっておりました。
あのなんとかとか言うアレはどうなったんだ!
なんてメールは完全無視と決め付けて、
半月を要した工事もほぼ完了しました。
相変わらずの自己満足サイトですv
桜が咲き終わる頃には・・・
と言っていたアレもそろそろ書かなくては・・・
と思う今日この頃、がんばります(たぶん)
なんしか書きたいことがてんこ盛りにモリモリなんですが、何から書いてよいのやらという事でこんな事を書いてみました。
最後に一言。
マルトミ食堂は私の行きつけの食堂です
では。
永らくお世話になりました。
2003年4月18日大変永らくお世話になりました。
この度考えに考えた末にこのような結果を導く次第と
なりました。
多くの皆様に愛され、励ましのお言葉を頂きながら
何とか続けて来れたわけですが、
本日をもちまして、
私の役目は終わります。
長年、本当に有難う御座いました。
感謝
マルトミ食堂 店主
大大大大大ショ〜〜〜〜〜〜ッック!!!
そして、お疲れ様でした。
マルトミ食堂過去ログは。。。。
月一覧が表示できないのでさがしてネ (オイ。
デリヘル人情劇場 『放免桜』 ♯01
2003年4月13日早朝から、やわらかな陽射しが窓から見える風景を包みこんでいる。
空はあくまでも青い。清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んで、爽やかな朝を満喫したいところだったが、当店【BURUTUS】の朝はそんな雰囲気ではない。
朝日が昇る頃に仕事の終わる我々は、この時間に一日の疲れがやってくる。
『デリバリーヘルス』という風俗の世界で生き抜くもの達にとって、この朝日は眩しすぎる。かつては皆、この朝日に喜びを感じていたのだが、今はこの朝日を懐かしみながらもどこか避けている。
「オヤブンサン!まどかチャンノ明日、送別カイネ!レイカ幹事ですからデシテ、遅れないでクダサイよ〜」
麗華は当店【BRUTUS】の受付嬢であり、現役の風俗嬢でもある。
中国人と日本人のハーフであり、少々間違っている日本語は彼女の愛嬌である。
「そうかぁ、まどかも明日で終わりか。で、どこで送別会するんだ?」
「でりサン”セイダイ”にやってやれテ言いましたカラシテ、叙々園レイカ予約したアルよ〜!」
まどかは一年程前にウチにやって来た。
こちらの耳をまどかの口元へと近づけないと聞き取れない声で彼女は
「自分を変えたい・・・です」
そう風俗に入る理由をつぶやいた。
一ヶ月はもたないだろうと思っていたのだが、まどかはこの闇夜の世界で一年をすごした。
彼女の教育係が当店のクレーム処理班であり、ムードメーカーであるあかねだったということもあり、また彼女の入店後入ってきた現在当店NO1であるシホがよく面倒を見た甲斐もあり、彼女は変わった。
誰もが認めるほどに生まれ変わったまどかは、誰よりも努力をした。
3月23日
彼女の陽の当たらない生活は終わりを告げるのであった。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
介護日記は↓っす。
今日は夜勤。
なんだか最近やたらと夜勤が多い気がしてならない・・・・。
行って来ます
運のつき
2003年4月12日日勤という朝9時から夕方6時までの勤務は、定時のトイレ介助が2回と食事介助が2回、そしてレクレーションや入浴介助がありこの仕事でのメインの出勤時間帯なのでありんす。
定時のトイレ介助とは、ご自身でトイレへ行く事が困難な利用者さんに対して、決まった時間にトイレへ誘導し、排泄の介助をします。
でり君の働く施設では50名ほどの利用者さんのうち、約20名ほどの介助を定時で行います。
本日朝ステーションへ行き、申し送りの前にとある利用者さんFさんが私の顔を見てニッコリ笑い、
「兄ちゃん!トイレ連れてて〜な♪」
とな。
「あいょ〜!」
と返事をし、トイレに車椅子で入った。
この方は自力での立位(立ち上がり)が可能なために、
「Fさーん!手すり持ってなぁ、立つぞー! 1,2,3!」
号令一番Fさんよっこらせと手すりを持って立ち上がった。
そこで間髪いれずに下着を下ろし、便座へと座ってもらおうとした時に異変を感じた。。。。
でり君のくつが微妙に重たい・・・。
そして何故か暖かい・・・。
・・・・もしや!?
くつには見事にFさんの立派な快便が・・・。
「Fさんちょっと遅かったみたいだぞ・・・。」
Fさんの顔を見上げると、Fさん満面の笑みで
「おそかたか!おそかたか!」
この悪気のない笑顔に救われる(^^;;
朝一で靴を履き替え、仕事を始める。
AM11時
昼食前の定時のトイレ誘導&介助
でり 「Fさ〜ん。ご飯食べる前にトイレいっとこか!」
F 「いとこか!いとこか!(行っとこうか!行っとこうか!」
トイレに入り、立ってもらい便座に座ってもらおうとした時、
何やら生暖かい感触がズボンを支配する。。。
「・・・。
F・・さん。おしっこ我慢出来んかったかぁ〜 (ーー;)」
「出来んかた!出来んかた!」
またもや満面の笑み
ズボンを履き替え、食堂へと向かう。
「Fさ〜ん、ごはんおいしい?」
またもや満面の笑みでうなずく
というか、うなずきまくる。
・・・・。
Fさん、首とれるょ
すると、
「兄ちゃん食ってき!(食べて行き)」
9割9分食べ終えたFさんのおぼんを差し出してくれる。
「ありがと。でもこれFさんの分だからね、気持ちだけでいいよ!」
PM5時50分
みなさんは夕食中
「Fさ〜ん。んじゃボク帰るからね!」
F「帰るか!帰るか!きつけて帰るか!(気をつけて帰り!)
兄ちゃん又遊びおいで!きつけて帰るか!」
Fさん。又来させてもらいますよ(笑)
明日もあさってもね♪
デリヘル人情劇場 『放免桜』 ♯00 プロローグ
2003年4月10日プロローグ
ほんの数名にしか知られていないのだが、
多くの思い出と、多くのこころが詰まった一本の桜の木がある
その桜は今でも毎年満開の華を咲かせている。
多くの思い出と、多くのこころが詰まった一本の桜
この桜木を『放免桜』という。
大川の流れる都島区桜ノ宮
ここは桜の名所で有名である。
この時期、花見の見物客で賑わうこの川縁だが
やっと陽の昇ったこの時間に、まだ人影はまだらであった。
「ワシものぉ、デカの頃には数知れない人様の人生に首を突っ込んだ。
でり坊、ム所から放免になってお天道様の下に出てくる人間はのぉ、
この桜の時期が一番多いんじゃのぉ・・・
何故だか分るかぁ?」
桜並木に並ぶベンチに腰を下ろし、当店【BRUTUS】の相談役である鎌田のおやじがゆっくりと話し始めた。
「さぁ・・。 なぜです?」
「桜はのぉ、心を思い出さすんじゃょ。日本人の「こころ」をのぉ。
閉ざされた塀から出て、この時期放免になったヤツらはのぉ、
多くが桜の咲く場所へ足を運びたくなるという。
そして桜木を拝んでのぉ、自分の犯した罪を今一度こころに刻み込み、
来年もこの桜を拝めるよう人生一からやり直す。
桜の花は日本人に刻まれた「こころ」が宿っておるんじゃのぉ・・・。」
桜の木の下で宴会をしたという記述は『日本書紀』にも書かれている。
太古から桜は日本人に愛され、親しまれてきたのだろう
桜は日本人の「こころ」をずっと癒してきている
「一度罪を犯した人間が、例えその罪を償って放免になったとしてものぉ、
本当の放免はやってはこないんじゃのぉ・・・。」
「本当の放免ですか・・。」
「そいつに命ある限り、本当の放免はやっては来ない。
そういうことじゃの・・・」
この鎌田氏は元刑事であった。
定年を前に退職をし、今は小さな探偵事務所を開き生活の糧としている。
話の最後に「の」とか「のぉ」と言うのが彼の口癖であり、
店の者達は彼を「ののじぃ」と呼んでいる。
「でり坊。今年の桜もよぅ咲いとるのぉ
この桜はのぉ、『放免桜』じゃ・・・
勘蔵にものぉ、やっと本当の放免がやってきたわぃ・・・。」
ベンチから立ち上がり、一本の桜の木をポンポンとたたき、
ののじぃはゆっくりとまたベンチに腰を下ろした。
「でり坊、オマエさんの事もなぁ、ちいと調べさせてもろうたわぃ。
オマエさん、もう全て終わっておろうが・・・。」
ののじぃの言いたい事はよくわかった。
私にもこの風俗という世界で働く理由があった。
たまたま結果が風俗という闇夜の世界だったのかもしれない。
だがその根本の理由はデリバリーヘルス【BRUTUS】で働く女性従業員たちと同じである。
この仕事を長々と続けられるものではない。
また、続けてゆくものではない。
「そうですね。私もそろそろ引き際ですね」
勘蔵さんのために名付けられたこの「放免桜」の下で、
この世界での散り際を見定めた。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
昨日、夜勤明けのその足で大阪の桜ノ宮へ行きました。
もちろん桜を見にね。
満開の時期を少し過ぎてはいましたが、
今年も見事な桜が咲き誇っていました。
桜ノ宮を流れる大川の遊歩道を歩きながら、あの頃を冷静に振り返ることが出来た自分に、少しは成長できたか と思えました。
もちろん「放免桜」も立派に花を咲かせていました。
沢山の思い出や、沢山のこころが詰まったあの桜は、
やはり私にとっても「放免桜」なのであります。
2:8の蕎麦でいいのだの巻
2003年4月8日どうも皆様こんにちは。
ここ数日色々と考え事なんかをしてまして、
日記を書こうと思いつつも、文章にまとまらず、なんだかんだと考え込むうちに寝入ってしまう・・・という数日間です。
何を色々と考えてるの???
なんでしょうね・・・
今度はいつスパワールドに行こうか?とか、
うどん屋「がちんこ」のダシが少ししょっぱくなったんではないか?とか、
気温の変化とスカートの丈の変化の集計をしてみようか?とか、
薬丸くんは偽善者なのか?
とか・・・・
んな事ではなく・・・。
8:2 の法則ってご存知ですか?
原因の20%に対処すれば、問題の80%が解決されます。
売上の80%は、全顧客の上位20%との取引です。
あなたの幸福は、全交友関係のうち、
20%の人間関係からもたらされたりする場合もあります。
こんなのを8:2の法則って言うんですね。
社会人の頃によく上層部の人間に
「会社では、2割の人が全体の8割の仕事をこなしている」
なんて言葉を言われたものです。
新しく何かを始めよう!とか、
自分を変えてやる!とか、
何かを思ってはみるももの、
頭のなかでグルグル巡っているだけで、なかなか進めていないことってたくさんありませんか?
20%程度やるつもりでいいのではないでしょうか?
そこまでやれば、成功への道しるべが、
見えてくることもあるでしょう
まずは頭で思っている事を『現実』に始めるだけでも
道は開かれると思います。
お互いがんばろうね
始めさえすれば、
もう8割は成功したのと同じだ。
(ウディ・アレン)
2003/04/08
「心」がね、やさしくなります
2003年4月2日老健施設で働きだして2ヶ月が過ぎました。
この2ヶ月はホントに早く感じました
今まで私がやって来た仕事というのは、
簡単に言うと『利潤』を求める事により、その利益を給料という形で手にしていました。
しかし今の仕事は、会社全体としてはもちろん利潤を追求してはいるものの、現場ではそうではありません。
『介護』と言う名のサービスを提供しています。
しかも、”介護をしている” のではなく、
”させて頂いている” 訳です。
やはり最初はこのあたりに戸惑いを感じました。
要するに「答え」を見つけるのに戸惑う訳です。
どこまで、どれだけ、いつまでに、
どのラインを自分の達成とするのかが分らない。
風俗で言うならば、今月幾らの売り上げを上げるか?
何本の仕事をこなすのか?
はっきりとした目標を数字という絶対数で表す事ができるのに対し、介護というものは数字で表すことは勿論できません。
老健施設には様々な方が入所されています。
病気によって半身が麻痺してしまった方、
パーキンソン病により筋肉が萎縮してゆく方、
痴呆に苦しむ方、
私の働くフロアーには45名程の入所者さんがいますが、
皆すべてが介護が必要です。
全ての方の機能レベルが違います。
積み重ねた生き様が違います。
教育とは「答え」を導く力を身につけてゆくもの。
すべてに答えを求めてゆく社会の中、人を殺す行為にまで
「正義」という絶対的な答えで片付けて行く。
答えを見つけるだけが正しいのか?
積み重ねた人生を尊重し、答えを示すことをあえてしない事もまた、
ひとつの「答え」である。
そう感じております。
ならば、私自身の答えは「探さない事」
「答え」を探さなければ、人はやさしくなれます。
「心」がね、やさしくなります
それが私の仕事です。
あとがき
2003年3月30日道を知っていることと、
道を歩くことは違う。
人の失敗した話を聞き、自分がさも経験をした気になることは多い。
しかし実際は、その『経験』に至った経緯
焦りや、落胆を経験せずに次の成功へと行ける人間は少ないと思う。
だから、くどい程「失敗しないように」と言われていても、
それと同じような失敗に人々が陥ってしまう。
『風俗』 と言われる世界に多くの人間が足を踏み入れる理由(わけ)は
極めて単純である
にもかかわらず、足を踏み入れる者が後を絶たない。
そして、その世界から足を洗って行く者は数知れているのが現状。
ただ道を知っているだけでは、実際に歩いた道とは
天と地の差がある。
つまり、道を知っているだけでなく、
歩くステップを飛ばして、
何か得られるなんて思ってはいけないということ。
言い換えれば、
過ちを犯しても、
それに苦しむことのできない人が、
何度も何度も過ちを犯す。
これは風俗の世界だけでなく、
どんな世界においても同じ。
這い上がるには自分の力以外ない。
時間を掛けてゆっくりと歩めばいい
そう思う
あとがきに代えて・・・。
2003-03-30
************************************
いやぁ、ホントにタラタラと長くなってしまいました。
我が街にも桜がチラホラと咲いて来ました。
デリヘル人情劇場『絆』
原稿用紙に換算すると154枚
文庫本にした時のページ数196ページ
この話のみで言うと
34443文字という長さになってしまいました。
全ての話では原稿用紙250枚を超えているようです。
下手な文章に読みにくい節が多々あると思いますが、
所々を読んでもある程度話が分るように書いたつもりです。
いつもメッセージを下さる方々、メールを下さる方々
新しくリンクをして下さった方々への言葉も書けず(書かず!?)
ホント無礼をお許し下さい。
しばらくは ”普通” の日記にしようと思ってます。(ホントか!?)
皆様から頂いたお言葉はすべて目を通しております。
日記もほぼ読んでいます。
お返事は書きますYO!
桜の咲いている間に最終章
「放免櫻」
が終わるのかどうか?
『絆』よりは短く纏めたいな!なんて考えつつ、
今日はこのへんで・・・。
************************************
デリヘル人情劇場 『絆』 その24は3月27日分
デリヘル人情劇場 『絆』 その25は3月28日分
デリヘル人情劇場 『絆』 最終話は3月29日
にUPしました。
お暇ならどうぞ
最後に
←べーさま
←ピーター石橋さま
お気に入り登録有難う御座いました。
どうぞ宜しくお願いしますm(__)m
デリヘル人情劇場 『絆』 最終話
2003年3月29日「でりさん足震えた?
達也さん怖いもんね〜〜」
「あかねちゃん。
今日の僕はノリノリだって言っただろうが。
達也兄にビシッ!っと言ってやったに決まってるだろうが、
あかねにもオレの勇士を見せてやりたかったぞ!」
帰りの車内はいつもの【BRUTUS】に戻っていた。
この数ヶ月間様々な事が起こり、
一時は店が崩壊するのではないか?
そこまで思いつめた事もあった。
その張本人は横に座るヤツではあるが、責める気は無い。
コイツはこいつなりに考えて、行動した。
あかねとはこの店を立ち上げる時からの付き合いであり、一番信頼できる人間でもある。
最初は泣き虫だったあかねが、時とともに店の女の子に頼りにされ信頼されてゆく姿があった。
ほんのちょっとした過ちから今までの生活がガラッと変わり、
このような世界で働くしかなくなった人間は数多くいる。
そこから、また元の生活に戻れるかどうかは本人次第でしかない。
人間(ひと)が変わってしまうのに時間は必要無い。
が、元に戻るには時間と自覚が必要になると思う。
あかねは確実に私の知らない本来のあかねに戻っているのだろう。
事務所に戻ると
「みんなで焼肉屋【源八】に行ってます」
という置手紙があった。
店に入ると、
「親分さん、ご苦労さまでヤシタ!」
顔を紅く染めた勘蔵さんが迎えてくれた。
「でりサン!レイカの横空いといたアルョ!座ってクンナセ!」
相変わらず少々日本語のおかしい麗華が満面の笑みで言う
そして輪の中心にはミサキがいる。
彼女の胸にはこのドンチャン騒ぎの中、ぐっすりと眠るミクがいる。
騙されると気付きながらも男女の絆に溺れかけた者がいる。
どれだけ離れても母と子の絆を忘れない者がいる。
社会からどんな目で見られていようが仲間との絆を守る者がいる。
社会が忘れかけている絆に結ばれた仲間がある。
闇夜に生きる者達の生き様がここにある
「今日はオレのおごりだから特上カルビ15人前追加しとけ!!」
ここには『絆』がある
デリヘル人情劇場 『絆』
おわり。
デリヘル人情劇場 『絆』 その25
2003年3月28日「要するにオマエ何が言いたいんや!?」
さとみを連れて神戸の達也兄貴の事務所に訪れた。
相変わらずの無愛想な口調は未だ健在であった。
麗華はこの達也が大の苦手であったのだが、
麗華に負けず劣らず、私もこの達也が苦手である。
「要するに・・・ですか?」
「おぅ、そうじゃ!さとみを連れてノコノコとこウチに何の用事がって来とるんじゃちゅう事や!」
ドスの利いた達也の声が部屋に響く。
「要するには、さとみをお返ししに来ました」
「さとみを返しに来た!?
オレが預かってくれと頼んだ女をいらん言いに来たちゅうことか・・・」
私の顔を正面から見据えてそう言い放つ達也の言葉、表情が恐ろしい。
「ただ単に理由もなく兄(あに)さんから預かった女をいらないと言いに来たんではないんです。
私もそれなりに無い頭を振り絞って考えた挙句のことです。」
「オマエがどう考えたかなんてオレは聞いて無い、
オマエはオレに恥かかせてるって事分かってンやろのぉ!」
さとみはこの部屋に入ってから下を向きっぱなしである。
「恥をかかせる気なんてありません。
でははっきりと言わせてもらいます。
さとみをこの3ヶ月ウチで見てきましたが、客ウケ、接客態度、売り上げ、指名、どれをとってもウチの最低レベルです。
送迎の車の中ではただひたすら窓から外をボ〜ッと見てるだけ、これが客と顔を合わせてからも同じです。
仕事内容も客からは『人形』とまで言われる始末です。
こんなヤツはハッキリ言ってウチの信用を損ないます。」
達也の顔がみるみる赤くなってゆく。
「さとみコラァ!てめぇオレの顔にえらい泥塗ってくれよったのぉ!!」
さとみが飛び跳ねる様にビクッと体をふるわせた。
「私も兄貴の店でこの風俗のノウハウを教えて頂いた人間です。
達也さんがそんな女をウチで働くように言うような人間じゃないことは私が一番良く知ってます。」
さとみに向けられた怒りを遮る様に少し強い口調で言う。
「おい、オマエ何が言いたいんじゃ!?」
「さとみが達也さんの店で働いていた時にはそんな事はなかったって分ってんです。でもウチではさとみは変わってしまった。
それは私の責任です。
達也さん。なぜさとみがウチではそんな仕事しか出来なかったかは達也さん分るんじゃないですか?」
少しだけ達也の顔色が変わった。
「んなモンオレが知る訳ないやろょ!」
「そうですか?じゃぁお尋ねしますけど、なぜさとみをウチで働くように言ったんですか?
いつも達也さんは私に『理由』をいってくれませんよね?
なぜさとみがウチに来る羽目になったのか聞かせて下さい。」
「オマエに言う筋合いがあんのか!?
オマエはオレの言うことを聞いてりゃいいんじゃねぇのか!?」
椅子から立ち上がらんとする達也が恐ろしい。
心臓が口から出そうなのである。。。
「それでは私が言いましょうか?
さとみは達也兄の店に帰りたかったんじゃないですか?
店にと言うよりも、達也さんの下に・・・。
私らの商売、店内や客との色恋は一番のご法度ですよね、
ましてや店を預かる者と、その下で働く従業員の恋愛なんて決してしてはいけない事。
店で働く者に対しての ”しめし” が付きませんから。
しかしいくら駄目でも始まってしまったものは止められない。
それで店の他の者に知られないようにウチにさとみを行かせた。
違いますか?」
「オマエ何を根拠にそんな事言ってんだ?」
達也の勢いが弱まっている。
やっとここ3ヶ月考えていた事への確信を得た。
「ウチの麗華がですね、ポツッと言ったんですよ、
やる気もなく外をずっと眺めるさとみのことを
『まるで好きなヒトいるみたいですね』
って、男の自分にはいつまで経っても解らなかった事ですよ。
その言葉を聞いて、やっと分かりました。
普段滅多な事が無い限り電話なんてしてこないあなたが週に何度か、
しかも私の携帯に直接掛けて来ましたし、なぜか私がさとみを乗せている時が多かったし・・・。
それに、達也さんと私が話している時だけさとみは聞き耳を立てる様に私に神経を集中させるんですよ。
最初は達也さんが怖くてびびってるのかと思ってましたけど、麗華の言葉で違うんだって確信しましたよ。
そして今、この場でさらに確信を高めました。」
「・・・。」
達也は黙ってしまった。
「さとみの負債はもう完済しました。
この先まだ風俗で働くのかは、もう私の知ることではありません。
ただ、この仕事の中で生まれた恋愛なら、さとみとしては達也さんの傍で働きたいと思うんじゃないですか?兄貴は男前ですからね。ハハハ
他の女に取られないか心配で仕方ないでしょ。
事務でも電話受けでも仕事はありますよ、さとみの為にも達也さんの近くにいさせてやってください。
私ではさとみに何もしてやれません。
お願いします。」
デリヘル人情劇場 『絆』 その24
2003年3月27日「いやぁ、なんか全てま〜るく収まってよかったね♪」
「あかねに言われるとすっげぇ腹が立つんだよ・・・。」
その日店へ戻り、そのまま仕事に向かっている車内である。
「ミサキちゃんとミクちゃんの再会はさすがのアタシも涙が出たもんね!」
「今までの涙は偽モノかょ・・・。
それにお前があんな小細工しなけりゃこんなに大袈裟にならなくて済んだんだ!お前にはこれからさらにややこしい客をあてがって行くから覚悟しろょ」
「どんっ!と来い!」
もうこれ以上言う気力も失せるのである。
「一つ話が解決した勢いでもう一つも済ませてしまう?
ちょうどいい機会じゃない」
「・・・。
お前はCIAか!?いったい何モンなんだよ?
工事現場の監督みたいになんでもかんでも仕切るんじゃないょ」
すっかりミサキの話に気を取られていたが、あかねの言う通りもう一つ問題が残っていた。
「偶然にも今日はさとみちゃん後ろに乗ってるし、いいんじゃない?」
「だからうるさいって!小姑め・・・。」
さとみは神戸の達也兄の店からウチで働くように言われてやって来た。
いつも車内では窓を見つめ、笑った顔さえ見たことも無い。
客からの仕事の評価もかなり低く、かといって達也さんから預かっている身分なので対応に困っていた。
一体何を考えているのか解らないでいた時に、何気ない麗華の一言がある結論に達する引き金となった。
「まぁあかねの言う通りだな。
このテンションの上がりきった時にさらっと終わらすか!」
車内で自分のことが話題に上がっているにも拘らず、さとみは全く関心を示さない。
ただ後部座席で窓から暗闇を覗き込んでいるだけであった。
「麗華、またまた悪いけど今日これからのあかねの仕事はミサキに回してくれないか?ややこしい客が多いけど今回の罰だって言ってくれ!
それからさとみの仕事は入れなくていいから・・・。」
「アイヨ〜でやんす♪」
この言葉に少しさとみは反応したものの、やはり「どっちでもいい」といった表情だった。
麗華への連絡を終えると車をUターンさせ、高速に乗り込み目的地へと急ぐ
高速を降り暫らく走ると、 ”見覚えのある” 景色にさとみが動揺し始めた。
「あのぉ・・・・これから何処へ行くんですか?」
「どこでもいいんだよ」
「良い事ありません。やめて下さい・・・。
わたしちゃんと働きますので、言いつけるのは勘弁して下さい!」
「今更遅いんです。
それに達也さんにさとみの仕事のことを言いつけに行くんじゃない」
「じゃぁ何しに行くんですか?」
「君を兄貴の所へ帰しに行く」
「だから困ります!許して下さい!」
「心配すんなって!
今日のオレはいつもに増してノリノリなんだ!
悪いようにはしないって」
「そうよさとみちゃん。
悪いようにはしないゎよ♪」
そのあかねの口調が悪戯好きの口調であった。
デリヘル人情劇場 『絆』 その23
2003年3月26日多田という男はミサキのような風俗嬢や『ワケアリ』の弱い立場の女性に言い寄り、偽の借金の保証人などにさせて金を吸い上げる詐欺行為を働いていた
ミサキは薄々気が付いていたが、誰かに縋(すが)りたいという気持ちが強く働いてしまったのだろう。
ここに連れて来られ、暫らくしてウチのあかねと連絡を取っていたことを知った男は、ミサキの目の前で携帯を取り上げ、真っ二つに折り壊したと言う。
全ての電話番号を携帯のメモリーに入れていたミサキは誰とも連絡が取れなくなった。
ミサキはウチの店に帰ろうとも思ったらしいが、自宅やウチの店を知る多田が追いかけてくるかもしれないという気持ちがそうさせなかった。
それにウチを逃げて出て来ている立場であり、あかねと連絡が出来なくなり、店が自分のことをどう思っているのか分からなくなってしまったミサキは、店にはもう戻れないと思ったと言う。
その後ミサキと私は色々な話をし、夜明けを迎えた。
「そろそろお時間だろ?帰るぞ。
せんだみつおに似てる『遣リ手』のおばちゃんに、お客様お帰りですって言ってくれ。」
「・・・・あの。
私はどうやってここを出ればいいんですか?」
「どうやってって、バイバイって手を振って帰ればいいだろが」
「そうやってまた私をいじめる・・・。」
「ハハハ。まぁなんとかなるだろ?
後ろ付いて来たらいいって」
特に持って帰る荷物もないミサキは着替えを済ませ、簡単な身支度をして私の後を付いて階段を下って行く。
「おばちゃん。悪いけどね、この子連れて帰るゎ」
「え?あんた何言ってんのぉ?冗談よしてょ!ハハハ!ありがとね、又来てょ!」
「冗談じゃないんだょねハハハ!こいつウチの店の女なんだゎ・・・。
引き抜きかけたのは何処のどいつじゃ!!」
「あんた正気で言ってるのかぃ!?この娘はウチで預かってる子だよ!
あんたどこの者ね?ちょっと待ってな!」
「預かってるだと?ここの島は何か?もしかして人身売買でもやってんのか!?」
「そんな事あるハズないでしょうが!!いいからちょっと待てなって!!」
「待てへんのじゃ!あんたが今から連絡をしようとしてるオトコはひょっとしたらもうワッパしてるかもしれへんぞ?あんたも檻の中行きたいか?」
「あんた誰ね!?警察!?」
「オレは警視庁の鎌田ってモンだ」
「・・・・。ウソでしょ!?」
「それは無いけどな、おばちゃん。
この子を連れてきた男が警察にマークされてんのは本当なんだ。
あんたとそのオトコにどんな繋がりがあるかは知らないけどな、
この子はそのオトコに騙されてココに来てるんだゎ、」
「あたしゃそんなオトコに連絡しようとした訳じゃないょ!
一切そんなオトコとは関わり無いね!」
「そうか。じゃぁ分かった。
オバチャンの店で、もし女の子が引き抜きにあってバレたら幾ら業者に請求すんの?」
「500万だよ!」
「でっかく出るなぁ〜。
分かった、ここに現金で50万あるからこれをオバチャンのポケットに入れとけよ。
ここは自由に島を離れることできんだろ?
コイツが勝手に逃げ出したってことにすればいい。
誰とも関わりが無いハズでも、もし誰かが来たらそう言えば済む話だろ?
コイツがウチで働いてたことは紛れも無い事実なんだよ、
オレは話を円滑に纏めたいから100歩も200歩も譲ってんだよ。
もしもウチの店で引き抜きがあったら業者に200万の請求をしてんだ、
どうする?まだ話こじれさす?」
「わかったよ、とっとと出て行っておくれ!
もうここには近づくんじゃないよ!」
話は片付いた。
「んじゃミサキ、帰るか!」
ミサキはオバチャンにお辞儀をして店を後にした。
「でりさん。ありがとうございました。
・・・・私、まだやり直せますか?」
「それは本人次第だろ?
とりあえず ”普通” の風俗嬢からやり直すんだな!ハハハ!」
少し春めいてきた或る日の出来事は、無事解決を迎えたのであった。
デリヘル人情劇場 『絆』 その22
2003年3月25日次の日、『磯屋』のおばさんに言われた通りの時間に店へ行くと、
ミサキの寝泊りしているらしい部屋に通された。
どうやらここでのシステムは女の子の部屋に男性客が訪れ、その後は『自由恋愛』という名目のプレイが行われるようだった。
「直ぐに”アカネ”ちゃん来るからちょっとだけ待ってて下さいねぇ〜」
通された部屋にはミサキはまだいなかった。
部屋には生活感が漂っている。
客が土産に持ってきたのであろうか?統一感のないぬいぐるみや雑貨が所狭しと置いてあった。
ここでミサキはどんな気持ちで生活をし、自らを切り売りしていたのだろう?
ふとそんなことを考えた。
10分程だったであろうか?
部屋でミサキを待っていると、階段を上がる足音が聞こえた。
自然と鼓動が激しくなった。
「お待たせしてすみませんでした〜。」
3ヶ月ぶりに見たミサキはなんだか痩つれて見えた。
明るく振舞うミサキの声とは裏腹に、私と目が合った彼女の顔はたちまち蒼白になり、その後紅く染まっていった。
事の事態を理解したのかミサキは咄嗟に昇ってきた階段を引き返そうとする。
そのミサキの手首を掴み、口を塞ぎ部屋の中へと引きずりいれた。
「ここでオマエに騒がれるとみんなを裏切る事になんだよ!
とりあえず落ち着いて話しようゃ・・・。」
ミサキに抵抗するような様子はなかった。
「オレはなぁ、はっきり言ってぶち切れそうに怒ってんだよ。
でもなぁ、まずは冷静に話ししようゃ。」
「・・・はい」
「最初に聞いておきたい事があるから、正直に答えろよ?
ここにオマエが居るのはオマエ自身の意思か?
オマエがウチのあかねと連絡を取らなくなったのは、オマエの意思でか?
オマエがウチの店を逃げて出て行ったのはオマエ自身の希望か?
オマエと一緒に居なくなったウチの常連の多田ってオトコはオマエのオトコなのか?
最後に、
・・・オマエは何処まで堕ちて行く気なんだ?」
ミサキは声を押し殺して泣き崩れた。
どのくらい泣いていたのかは覚えていないのだが、ひどく長い時間に感じた。
しばらくし、目を真っ赤に腫らして顔を上げミサキが最初に話した言葉は
「ミクは元気にしてますか?」
だった。
その言葉に何ともいえぬ安堵感を感じたことは今でも覚えている。
母と子の絆を捨ててしまうまでミサキは地に堕ちていなかった。
「ミクはウチで元気にやってる
明日俺たちは大阪に帰る、ミサキはどうしたいんだ?
オマエが今置かれてる立場、状況、すべて抜きにして正直な気持ちを聞かせてほしいんだょ・・・」
「でりさんの他にもここへ来てるんですか・・・?」
「あかねと勘蔵さんとオレは昨日から、それに鎌田のおっさんも今日やって来た」
再びミサキは泣き崩れて、声にならない声で
「・・・ミクに会いたいです。」
そう言った。
「多田ってオトコの事だけどな、ミサキは分かってたのかもしれないけど相当の悪人だったみたいだな。
ののじいが居所掴んでくれてな、勘蔵さんと二人で乗り込んで行った場所はなぁ、”よからぬ”事務所の一室だったらしいゎ。
お前と同じような被害を受けた ”被害者” がわんさか居るらしい。」
「・・・被害者」
「そう。被害者」
「・・・そうですか」
ミサキにはこれだけで全てが理解出来たようであった。
デリヘル人情劇場 『絆』 その21
2003年3月24日何かに追われているかのごとく連続固め打ちで更新しております。
夜勤の都合上どうしてもこうなってしまうのです。。。
デリヘル人情劇場 『絆』 その19は3月22日分
デリヘル人情劇場 『絆』 その20は3月23日分
と本日の3日分をまたもやまとめてUPさせていただきました
ご了承をm(__)m
桜がチラホラと咲き出し、非常に焦っております。
デリヘル人情劇場最終章『放免櫻』は今篇『絆』の後です。
あぁ・・・。どうなる事やら・・・。
**************************************************
ホテルを出て少し歩くと、直ぐにこの島の歓楽街と言おうか、置き屋街があった。足を踏み入れるとあちこちから声が掛かる。
しばらく流して歩いていると昼にあかねに声をかけていた『遣り手』がいた。
「お兄さん!あんなカワイ子と一緒に来てたのにイイのぉ?
ショートでさっと遊んで行くかい?」
「ショートでいくら?」
「30分で1.5枚 60分で2枚だよぉ〜ぉ
泊まりだったら朝までで4枚だゎあ〜どうするぅ?
早く決めんしゃいな、いい子ツケルからさぁって!」
「ここは外国人多いみたいだけど?」
「そんなヒトおらんって!ウチはみ〜んなピチピチの日本人の子だってばぁ〜!」
「ここで『あかね』って子がかわいいって聞いて来たんだけどね・・・」
「あぁ!髪の長いオナゴさんの事かぁ〜?
アノ子はアタシと同じ九州出身だってから知ってるよぉお〜
そこ真っ直ぐ行って右にある『磯屋』におるけどねぇ〜
アノ子よりいい子必ず紹介するでぇ、ちょっとウチ入りぃ!」
「又来るから!ありがと」
どうやらミサキはまだこの島に居るらしい。
ゆっくりと『磯屋』へと向かった。
『磯屋』の看板が目に入ると急に心拍数が上がる
「お兄さん!いい子いるから遊んでき!」
「あのですね、こちらのあかねって子がサービスがいいと聞いてやって来たんですが・・・。」
「あらぁ〜残念!あかねは今日はもう泊まりで入ったから無理なのよ!
お兄さん他の子じゃ駄目?」
「明日もここに泊まってるんですけど、明日なら大丈夫ですか?」
「あかねちゃん人気でねぇ!でも明日はなんとか大丈夫だわぁ
お兄さんお名前は?今日は何処のホテル泊まってるのぉ?
泊まりは11時から朝の7時までってことになってるから」
明日の予約を取り、ホテルへと帰った。
自分の店で働く従業員の予約を取るとは何とも言えぬ気分であった。
「ただいま。」
「あぁ、親分サンお帰りヤシ」
「ミサキ居ました。
明日予約取ったので会って来ます。」
「そうですカィ。ご苦労でヤシ」
「あかねは?」
「お嬢さんは今夜はお疲れのご様子で、もう布団に入りヤシタ。
どうかアッシに免じて許してやってクダセェ。」
「いや、いいんですよ。
一人で今まで抱えてたんですから、肩の荷が少しは下りて安心したんでしょ。
まぁ明日の事は明日考えるとして、勘蔵さん呑み直しますか?」
「ヘイ。そういたしやャしょう!」
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らんsama 雅sama
お気に入り登録ありがとう御座いました。
ご挨拶はあらためてさせて下さいm(__)m
どうぞよろしくです。
デリヘル人情劇場 『絆』 その20
2003年3月23日「あの日ミサキちゃんはミクちゃんをウチに預けるために出勤してきてて、
レイカちゃんに常連の多田から自分の携帯に呼んでくれるって連絡があったってウソついて、隣のホテルに行ったの。」
「でもオレはホテルのオバチャンに二人で入っていったのを確認したぞ?」
「その男は私の友達で、後で誰かがあのラブホに聞きに来ると思って一緒に入ってもらったの・・・。」
「で、30分程でチェックアウトしたって訳か・・・。」
「そう」
その後ミサキは多田という男と二人でこの島にやって来て、
男はミサキを置いてどこかに消えたという。
ミサキがホテルに手紙を残して行ったのも、あかねの入れ知恵だった
必ず戻るので探さないでくれと書かれた手紙を見て、もし何事も無く帰れたなら、理由を言えば私が許すであろうと考え、
また、いつまでたっても戻らなかったら本格的に私達が探してくれるだろう。
そういうあかねの『読み』であった。
ミクさえウチに居れば、ミサキは我々の記憶から消えることは無く、またミクの安全も保証される。
予想した結果となったものの、あかねの読みと行動力にはある意味敬服さえする。
「それで、磯屋って言う置き屋には誰が行くんだ?」
「誰って・・・・」
言うまでも無く、、、という目が突き刺さる。
「もしもだぞ、そんなことはこんな近代化したご時世であり得ないとは思うけどよぉ、もしもミサキが何処ゾの誰かに金で売られてココに来てるということだったらだぞ、こんな船でしか渡れない島からどうやって連れ出すって言うんだ?」
「気合!」
スナックという名目の置き屋が開店するまであと僅かの時間しか残っていなかった・・・。
「でり坊、お前の言ってた多田って男のぉなんとか居場所分かったでのぉ」
今夜はミサキと接触することを諦め、3人でああでもないこうでもないと
宴会気取りで話をしていると、ののじいから連絡が入った。
物事は切り替えが大切である。
「あぁ鎌田さん!多田はひょっとすると三重県ですか?」
「・・・。
何故分かったんだ?そうじゃ、三重の○○におるでのぉ
三重に△◇組ちゅうのがあってのぉ、たいそうアコギな事やっとるらしい。
でのぉ、多田ちゅう男はそこと一枚噛んでるみたいじゃのぉ」
「私と勘蔵さん今、三重に来てるんですよ。
明日ミサキに会えるかもしれません。」
「おぉ!勘蔵も一緒か!
悪いがのぉ、ちょいと勘蔵に代わってくれんか?」
電話を勘蔵さんに渡すと、勘蔵さんは熱心にウンウンと頷いていた。
「あのクソガキがそんなコトタァしてヤシたか!
旦那ァ、ここはアッシに任せてクダセェ」
勘蔵さんは頭に来た様子で電話を切った。
「親分サン、アッシはちょいとこの辺りじゃぁカオが利きヤシテ、
多田とか言うオトコの事タァアッシに任せチャァ頂けャセンか?」
「はぁ・・・。
分かりました。お願いします。」
「アッシは明日一番の船で港へ行きヤス。
大船に乗った気持ちで親分サンはァミサキの姐さんのことだけに集中してクダセェ〜」
なんだか意味が良く分からないのだが、そのミサキのことが一番頭が痛いのである。
「じゃぁちょいと外でミサキの情報でも聞いてきます。
あかね、ミサキはここでは何て名前で働いてんだ?」
「・・・」
「え?」
「・・・あか・・ね・・」
「え!?」
「だから、あかね!」
「ほぉ〜。『アカネ』ねぇ〜。いい名前じゃねぇか!」
伊勢海老の殻が飛んで来るのをすかさず避けて大笑いした。
デリヘル人情劇場 『絆』 その19
2003年3月22日船着場から渡し舟に乗り、船で5分程で目的の島に着いた。
一体どんな島なのか?不安もよそに、あかねが先を歩く
歩いて周れるであろうこの小さな島のGNPのほとんどを娼婦が産物するという噂がもっぱらである。
船で一緒に乗り合わせた乗客の全てが男性であった。
「あかね、この島『飛田』よりも怪しい匂いがするんですが・・・。」
「この島全部が飛田新地みたいなものらしいです」
「・・・。」
「あんたどこのスナックで働くたい?」
しばらく歩くと九州訛りのする「遣り手」であろうばぁさんが声をかけてくる
「遣り手」とはここで働く女性を客と交渉し斡旋し、マージンを取る人のことを言い、『ポン引き』などと言うと分かってもらえるだろうか?
「私はただの観光客です。」
「あららぁ!すまんこったねぇ〜。
格好が派手なんであたしゃてっきりぃ!あぁホンに申し訳ねぇ!
気ぃ悪るせんでねぇ〜!」
ある意味人を見る目があるばぁさんである。
「ちゃんとくっついて歩けょ。。。
一人で先に行くからそういう目で見られんだよ・・・」
我々はこの島の唯一かもしれない列記としたホテルにチェックインをした。
予約はもちろんあかねが事前に済ませていた。
しかも3人分・・・。
部屋に入るとあかねが知っている限りのミサキの情報を語った。
「ミサキちゃんは『磯屋』っていう置き屋にいるはずなの。
そこにいるって電話してきてたからね、でも3週間前くらいに連絡が急に途切れたの。
ミサキちゃんと居なくなった男は、彼女が前働いていた店からの常連らしいのね、その男がいたから離婚したんじゃないらしいけど、なんらかの関わりはあったと思うの。
男は何の仕事をしてるかは知らないけど、男には結構な額の借金があったみたい。」
「闇金業者か?」
「みたいなことを言ってた。」
ののじいの調べでは、男にめぼしい借金のデータは無いと聞いていた。
「でも、それも本当かどうかは分からないの
だからミサキちゃんはウチで働いていたお金も大分その男に渡してたみたいで・・・。」
「じゃぁその男もこの島のどこかに居るッテェことですかい?」
「それが、男はここには居ないって言ってた」
「ミサキちゃんね、ウチ出て行くって言ったときにね、もしかしたら騙されてるかもしれないって言ってたの」
「騙された?」
「そう。
男の連帯保証人になった途端に家に取り立てが来るようになって、
そしたら男がこの島に行って働いてくれって言い出したんだって言ってた」
「男がその金融屋とグルってことか?」
「ん〜。
そこまでは分からないんだけど・・・。」
話の筋が良く分からない。
「ミサキちゃんはずっとミクちゃんの事気にしてて、男はミクちゃんも一緒に連れて行けって言ってたらしいんだけど、私がウチの店で預かっておいてあげるって言ったの。
で、本当は仕事休みの時に出て行くつもりだったのを、急に店に呼び出された事にして、ミクちゃんをウチに預けてから出て行ったの・・・。
あの日ホテルから一緒に居なくなったっていう多田って男は、今捜してる多田とは別人だったの・・・。」
「なんだと!?」
デリヘル人情劇場 『絆』 その18
2003年3月21日デリヘル人情劇場 『絆』 その16は3月19日分
デリヘル人情劇場 『絆』 その17は3月20日分
と本日の3日分をまとめてUPさせていただきました
**************************************************
「勘蔵さん、今どの辺りですかね?」
私がガソリンを入れ終わっても彼女の乗ったタクシーに追い抜かれた様子はなかった。
「お嬢さんは一旦道を外れヤシテね、自販機で飲み物をお買いになって、
その後ガソリン入れヤシテ、今又本線を走ってるところでヤス!」
その報告を聞き、彼女の乗ったタクシーに追い越されようとアクセルを緩めた
「それでですネェ、この ”ヘボ”タクシーのアンチャンがアッシらの車もガスが無いって言いヤガルんデシ・・・。ドウいたしヤしょう!?」
まったく可哀想な運転手である・・・・。
「じゃあ私があとは何とかしますから、勘蔵さんはガソリン入れてゆっくり追いかけて来てください。
それから、もう安心してもらっていいですからそのタクシーの運転手を怖がらせないでくださいね・・・。」
「ガハハ!ついカーッとなっちまいまして!了解シヤシタ!」
その後、彼女を乗せたタクシーは更に進み、西名阪道から伊勢道を突き進んだ。
こいつは本当にどこまで行くつもりなのか?
ただ単に温泉旅行にでも行くつもりではないのか?
そんな気がしてきた
しかもタクシーで・・・。
大阪から約4時間
彼女を乗せたタクシーは三重県のとある場所でやっと止った。
そして彼女はタクシーを降り、目の前のファミレスへと消えて行った
「麗華ぁ、オレと勘蔵さんはまだ帰れそうにないんだ・・・
申し訳ないけどなぁ、何とか仕事しといてくれるか?」
「任せてクンナセーアルョ!レイカ元気もりもりアルネェ♪
”ブシビシ”がんばるーデショ〜!」
「じゃぁすまんけど宜しくな
それから、”ブシビシ”じゃなくって”ビシビシ”な・・・。」
「アイョ〜でし!レイカ ”ブシブシ” がんばるネ〜!」
少しおかしい日本語はまぁイイ事にした
仕事明けそのまま4時間の運転はさすがに体にきていた。
ファミレスの入り口を監視してるまぶたが重くて仕方がない。
ほんの少し意識が飛んでしまっていたのか、
車のドアが開いた音で気が付いた・・・。
「勘蔵さん体キツくないですか?少し休んで下さい」
てっきりやっと勘蔵さんが追いついたと思い込んで助手席を見ると
ファミレスに入っていたはずの『あかね』がいた
「そろそろ行こうかなって思ってね!
でりさん何も食べてないんじゃないですか?これ買ってきたから食べなよ!
てっきり中まで入ってくると思ったのにハンバーグ代損したし・・・」
「・・・。」
驚くよりもあっ気に取られた
「いつから知ってたんだ?」
「朝から」
「朝から!?」
「そう。
勘蔵さんが電柱から覗いてた時から知ってる♪」
「・・・。」
「詳しくは、でりさんと勘蔵さんと麗華ちゃんが居酒屋『きゅうり夫人』で話してた時から知ってる」
「なんだって!?」
「あの時ね、麗華ちゃんのカバンに盗耳君入れといたの
で、外でみんなが話してるのを聞いてた♪」
盗耳君とは仕事でごくたまに使用する超小型盗聴器である
「おまえなぁ・・・」
「探偵ごっこは楽しかった?ハラハラしたでしょ?」
返す言葉もない
あかねは当店【BRUTUSU】のクレーム処理班である。
性質の悪い客はすべてあかねが対応する
そしてあかねが対応した客は皆満足をして帰ってゆくのだ。
客への接客、対応を瞬時に判断する能力はあかねの右に出るものはいない
あかねを見縊っていたようだった。
「勘蔵さんが着たらあそこの船に乗って行くからね♪」
「船で何処に!?」
「今日のお・や・ど」
「宿だと!?お前オレらを使って温泉旅行じゃねーだろなぁ!?」
「今までミサキちゃんのこと黙っててすみませんでした。
アタシがやったことがここまで大事になって、店のみんなにも迷惑かけて、
アタシはどんな罰でも受ける覚悟出来てます。
もうアタシでは解決出来なくなったの。訳は後でキチンとお話します。
あそこから船で少し行った○○○島にミサキちゃんが居るはずなの・・・。」
「○○○島・・・。」
聞き覚えのある名前であった。
昔から島の一部が遊郭となっていると聞いたことがある
そこにミサキがいるのだろう
軽口を言っていたあかねがいつの間にか泣いていた。
今回の出来事で一番ミクとミサキを心配していたのは、二人と一番仲のよかったあかねだったに違いない・・・。
デリヘル人情劇場 『絆』 その17
2003年3月20日「親分さん。お嬢さんは一体どこまで行くおつもりでヤしょうか?」
彼女がタクシーに乗り込みかれこれ2時間が経つ
彼女を乗せたタクシーは阪神高速から西名阪道を突き進んでいた。
「さぁ・・・。この道は奈良の山間部を通って三重、名古屋方面・・・。
アイツの実家は岡山。
もう目的は一つしかないんじゃないですか?」
「やっぱりミサキの姐さんの所でャしょうか・・・」
「風邪気味でこんなところまで病院に通ってるということだけはなさそうですよ。もし病院だったら即効頭ハタキに行きます」
我々の車は彼女を乗せたタクシーから一定の距離を保ち追い続けた。
「勘蔵さん、ガソリンがヤバイっす・・・。」
本当にどこまで行く気なのか、ガソリンがみるみる無くなってゆく
「アッシらがガソリン無いのなら、あのタクシーも無いんじゃネーですかィ?
タクシーを追い越してスタンド入りャしょう!
もし先に行かれたらアッシが違うタクシーで追いかけャスゼ」
この西名阪道は一般国道ではあるが信号が一つもない。
スタンドは幾つかあるのだが、ヤツの乗ったタクシーを追い越し距離を稼いでもガソリンを入れている間に確実に追い抜かれるだろう・・・。
「仕方ないですね・・・。
こんな道でタクシーを拾えるか分かりませんが、そういう感じで行くしかないですね・・・。」
一気にアクセルを踏み込み、彼女の乗ったタクシーを追い越し先を急いだ。
「姐さんの車が途中で曲がってたら終わりでヤスね・・。」
こうなったらヤケクソである。
見失ったら見失ったで仕方が無い。
しばらく行くと前方に空車のランプを付けたタクシーを見つけた。
ラッキーであった。日頃の行いがいいからである。
追い越し車線からそのタクシーに追いつくと勘蔵さんは窓を開けタクシーの運転手に怒鳴りつける
「ワシがそこに乗るから停めヤガレ!
路肩に停めろッテンダァ!!聞こえネーのかコラぁぁぁああ!」
タクシーと平行に走りながら窓から顔を突き出し怒鳴り上げる
私がタクシーの運転手ならば絶対に停まりたくない。。。
さらにスピードを上げタクシーの前に車を斜線変更するとタクシーはハザードランプを付け止る意思表示をした。
「勘蔵さん、アイツの乗ったタクシー覚えてますよね?
そのタクシーを確認したら運転手に言って後をつけて下さい!
私はガソリン入れてすぐ追いかけますのでまた連絡します」
勘蔵さんは車が止り切らないうちにドアを開け、飛び出して行った。
私はもう一度アクセルを踏み込み、先を急ぐ。
「親分さん!お嬢さんの乗った車確認しヤシタゼ!アッシは後を尾行(つけ)ヤすから安心してガソリン入れてクダセェ!」
しばらくして勘蔵さんから連絡があった。
これでなんとかなりそうである。
角刈りの初老が『オヤブンサン』だの『尾行(つけ)る』だのと後ろで叫んでいるタクシーの運転手は一体どんな心境なのだろうか・・・。