デリヘル人情劇場 『絆』 その16
2003年3月19日何かヤマシイ事をしている訳ではないのだが、
人を尾行(つけ)て歩くと言うのは後ろめたい気分になる。
彼女は自宅から10分ほど離れた新今宮駅近くのスーパー玉出へと入った。
「勘蔵さん。ヤツは今宮駅の玉出に入りました。車止(よ)せてくれませんか」
「お嬢さんただの買い物でヤスかね?
わかりャシた。直ぐに車付けヤスゼぇ」
当店【BURUTUS】の顧問でもある”ののじい”は探偵を生活の糧としている。
”ののじい”はいつもこんなことをしているのか?
人の後をツケルのがこんなにも難しいとは思わなかった。
私には探偵などという職業には就けないだろう・・・。
「親分さん。車は入り口の北ッ側に停めてアリヤスんで」
彼女がお菓子やらペットボトル飲料などを買い込みレジへと向かったのを確認し、一先ず車へと戻った。
「お嬢さんがこのままマンションに戻ったとなるとチット困ったことになるんじゃないですかィ?」
「そうですね・・・。
でもスーパーに行くだけの格好じゃないと思うんですけどねぇ・・・。
このまま何処かに行ってほしいような、でも真っ直ぐ家にもどってほしいような・・・ 複雑な心境ですよ」
今回の出来事でウチの内部に内通しているヤツがいるんではないか?
そう疑ったのは私自身ではあるが、そんなヤツが本当はいてほしくない
そう思っているのも事実であった。
「親分さん。お嬢さん出て来ヤシタ・・・。」
なぜこんなにも緊張するのだろう?
彼女に気付かれはしないか?
彼女がこの後どこへ向かうのか?
彼女が姿を現した瞬間、思わず座席から身をずらし姿を隠そうとしていた。
「誰かを待ってるんじゃァねェですかね・・・。」
彼女は道の端でペットボトルの蓋を開け、
誰かを待っているのかジッと立ち続けていた。
「じっとしてられちゃァアッシらの車がバレちまいそうデシ・・・
お嬢さんは何待ってるんでヤしょうか?」
そんな話をしていると、彼女は手を挙げ一台のタクシーに乗り込んだ。
「勘蔵さん運転代わります。
ここから家までタクシーに乗るヤツはいないでしょう。
いよいよ動き出しますよ!」
「ヘイ!見失わないで下さいゼ親分さん!」
デリヘル人情劇場 『絆』 その15
2003年3月18日デリヘル人情劇場 『絆』 その13は3月16日分
デリヘル人情劇場 『絆』 その14は3月17日分
と本日の3日分をまとめてUPさせていただきました
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「勘蔵さん、お疲れ様です。缶コーヒーでいいですか?」
店を閉め、彼女を張り込んでいる勘蔵さんの元へ向かうと
車を彼女のマンションの死角に止め、物陰からマンションの出入り口を監視する老体が見えた。
「温かい心使い、勘蔵一生忘れヤセン・・・。
遠慮なく頂ヤス」
ム所帰りの男が刑事まがいの事をしている姿に少し笑いが込み上げる。
「同じ組同士のモンがこうやって疑い懸けて監視するっテのは心が痛みヤス」
我々は『組』ではないのだが、勘蔵さんの言いたいことは良く分かる。
勘蔵さんがム所に入る前、どのような生活をし、どのような人生を歩んで来ているのかは未だ一度も聞いた事がなかった。
ただ勘蔵さんの身元引受人である”ののじい”から、ウチで掃除夫でも何でもいいので働かせてやってくれと頼まれ、今日に至る。
『風俗』という道を選択しウチにやって来た者達は、何かがあった場合を考え面接時にある程度の彼女達の過去を聞き入店をさせてはいるが、私の本心は『風俗』に身を置かねばならなくなった過去よりも、風俗に入ってからどうしたいのか?という明確な理由をすべての入店の基準にしていた。
「もしアッシらの目論見(よみ)が見当違いっテ事になったら、やはりミクは施設ってェ所ヘ行くしかネエってことになりャスァねぇ・・・。」
勘蔵さんにとって4歳のミクは孫のような存在だろう。
同じ屋根の下で数ヶ月を共にした勘蔵さんもまた、あかねやシホと同じくミクを大変可愛がっていた。
「勘蔵さんはお孫さんっているんですか?」
そう言おうとしたが寸前で言葉を飲み込んだ。
きっと人には聞かれたくない過去もある。
私が勘蔵さんの過去をとやかく詮索しないのわかった上で”ののじい”はウチで働かせてくれと言ったに違いないのだから・・・。
「親分さん!」
日も高く昇りつめた頃、ついに彼女がマンションから出てきた。
「買い物でヤスかね?それとも・・・。」
「分かんないですけど、私は彼女を尾行(つけ)ますから勘蔵さんは車で待機して下さい。都度連絡します。」
「お気をつけてクンナセェ!」
いよいよ刑事ドラマが始まった。
デリヘル人情劇場 『絆』 その14
2003年3月17日「親分さん、今姐さんがぁ少し風邪気味なもんで今日の仕事終わったら、明日から2日程休ませてほしいって言い残して客人の部屋に上がって行きャシたがぁ、
もしかするっテェと・・・。と勘蔵は思うんでヤスが」
今回の出来事は幾つかの不明瞭な点があった。
我々は当店【BURUTUS】の従業員の中に、糸を引いている者がいるのではないか?
むしろ、この事態を収拾する糸口として糸を引いている人物がいてほしいとさえ考えていた。
「そうですか。
今日この客で彼女は終わりですので、勘蔵さん家までそのまま送ってやって下さい。」
「へい、承知シヤした。
それではアッシはってぇと、そのままマンションで張り込みイタシヤス。
ガラ(身柄)に変化があるときは連絡いたしヤス!」
「私も締めが終わったら行きますのですみませんがお願いします。」
「ヘイ。任せてクンナセイ」
なんだか気分は『太陽にほえろ』の様か?
少し古いと言うならば『あぶない刑事』 勘蔵さんがタカで私がユウジ
これも古いならば、『踊る大捜査線』 勘蔵さんが和久さんならば、やはり私は主役の織田裕二といったところであろうか・・・。
何にせよここで彼女に何がしろの動きが無ければ、我々の思惑は完全に潰れることとなる。
母と子を引き離す様な真似は決してしたくない。
しかし、何とかして今回の出来事に終止符を打ちたかった。
そのために従業員の反発は覚悟の上で、ミクを施設に預けると皆の前で発表をし、糸を引いているであろう彼女が動くのを待つことにした。
もしそれでもミサキが見つからなかったなら、本当にミクを施設に預けるしかない。
最後の賭けだった。
明日の無い街に太陽が昇る頃、一本の電話が鳴った。
電話の主は通称”ののじい” 私立探偵の鎌田のおやじさんであった。
「あののぉ、お前が探しとった二人の 男の方がのぉ、
もしかしたら居場所分かるかもしれんのでのぉ、今確認取ってるでのぉ、
まぁヒットする確立は五分五分ってところで考えててくれのぉ。」
何かが動き出す時はこういうモノだ。
止まっていた時間が動き出したのを肌で感じた。
デリヘル人情劇場 『絆』 その13
2003年3月16日「今月末にミクは施設に預けることにしたから・・・
これ以上ミサキを待ってももう無理だろ
何よりも、ここはミクにとって環境が悪いしな、皆には悪いけどミクをどこの施設に入れるかは一切言わない。
これは今後のミクのためだ」
仕事前の簡単なミーティングの時間に、このことを当店のレギュラー陣に話をすると一斉に不満の声が上がった。
「じゃぁミクちゃんが施設に行った後にミサキさんが帰ってきたらどうなるの?」
「それは施設に入れる前に施設側と話をして決めるよ。
オレ自身はもう会わない方がむしろミクにとってはいいことかもしれないと思ってる。」
「そんなのあんまりじゃない!」
季節は春に近づいてはいるものの、まだ肌寒い。
しかし事務所の中は険悪でじめっとした空気が流れていた。
「あんまりなのはどっちじゃい!」
ミサキが居なくなってからというもの、睡眠時間はめっきりと減りストレスと疲労で溜まっていたイライラが一気に噴出したかのような、自分でも驚く程の大声に少し戸惑った。
「夫と離婚した矢先に我が子を捨ててウチの常連と失踪した人間の方があんまりとちゃうんか!?
どんな理由にせよ、我が子を残して連絡もなしに3ヶ月も放ったらかしの人間に、もう一度母親をやり直すことが出来んのか!?
母子の絆よりも男を取ったと思われても仕方ない状況とちゃうんかい!」
「人間何度でもやり直す気持ちがあればできるって言ったのはでりさんじゃない!
ミサキちゃんがやり直したいってここに帰って来てもミクちゃんが居なくて、裁判所の決定とかで会えなくなったらでりさんの責任だからね!
私達だって生半可な気持ちでミクちゃんをここで預かってるんじゃない!
馬鹿な頭でも少しは考えて行動してるの、私達に何の相談もなしに一方的に決めるのはあんまりじゃない!」
「なぁ、ここがいつまでもあるってわけじゃないんだぞ?
お前らもこの仕事をずっと続けていく人間じゃない。
そんな前提でウチはスタッフを含め全員がこの仕事をしている
ミクだけがいつ帰ってくるかも分からない母親を待ってここに留まり続けるわけには行かないんだよ・・・。」
「ミクちゃんカワイソーデシネ・・・。
レイカ悲しいアルョ」
自分の感情をそのまま素直に声に乗せる麗華の一言に、
自分の幼い頃をダブらせたのか、
それともミクの行く末を案じたのか、
数人の者達がすすり泣いた・・・。
この発表をした後、
今回の出来事に”糸”を引いているかもしれないと思われていた『彼女』が
「2日間ほど風邪のために休ませてほしい」
と言ってきたのはそれより3日後のことだった。
事件の尻尾が見えた・・・。
デリヘル人情劇場 『絆』 その12
2003年3月15日「って言いヤスと親分サンはもう見当が付いてラッシャルんで?」
「さぁ・・・。どこまで糸を引いて、どこまで関わっているのか・・・・。
アイツが本当に関わっているのかさえ正直分かりません、アイツはなんと言ってもウチでもずば抜けて賢いヤツですからね。
私的には何なら関わっていてくれてれば嬉しい、そんな所です。」
勘蔵さんと私はおそらく同じ思いでいた。
何故ここまで失踪した二人のことが分からないのか?
ウチに出入りしている、麗華と勘蔵さんの身元引受人でもある『ののじい』こと鎌田のおやじは私立探偵をしている元刑事だ。
そのののじいが損益なしで必死に探しても見つからない、
となると、こちらの考えや行動が何処からか消えた二人に流れている?
従業員を疑いたくはない、しかし次第にそう思っていたのは私だけではなかったようであった。
おそらくミサキは何らかの問題に巻き込まれてウチを出て行った。
ミサキは特に多額の負債を抱えていたという訳ではない、となるとウチで働いて稼ぐ以上の金が必要になったのか?
そう考えるとその原因は一緒に逃げたウチの常連客であった男にあるだろう。
ではミクをわざわざウチに残して行ったのは何故か?
なぜ一緒に連れて行かなかったのか?
家族もろとも失踪したならウチが嫌になって単に飛んだと思い、ミサキを探すようなことはしないだろう。
ミサキはウチに対しての借金はない。
ミクを残したことにこそ意味があるのではないか?
子供を残して行かねばならないほどの相当危険な真似をしているのか、
それとも自身を探してもらいたいがためにミクを残したか。
しかしウチの誰かとミサキが連絡を取っているとするなら、後者はない。
「もしアイツとミサキが繋がっていないのなら、ミサキはもう二度と帰ってきませんね・・・。
命さえあるかどうか私には分かりません・・・。」
「アッシも親分サンと同意見デシ・・・。」
「しかしね、何の根拠も無い所でアイツを疑って掛かると一気にウチの従業員に不信感が流れますからね・・・・。
こういう失敗はあっという間に広がります
アイツだって消えた人間と糸を引いていたってバレたらどうなるかってことを一番知ってる人間です。
そんな簡単に尻尾出さないでしょ・・・」
「シッポ・・・。レイカイッコウニ話ワカラナイ、一体ナンノ話シテルデシカァ??」
「レイカは黙って聞いてなさい・・・。」
どうやら今回の事件は事の落しどころが一番の問題になりそうであった。
デリヘル人情劇場 『絆』 その11
2003年3月14日「親分さん、アッシはそろそろ限界だって思うんですがぁね、
これ以上待ってももう帰って来やしねぇ気がしてなんねぇ。
出過ぎた真似ってぇのは承知してやす、ですがね、勘蔵は今夜あえて言わせていただきヤスゼ」
4歳のミクを残したままその母親であり当店【BURUTUS】で働いていたミサキが失踪をして3ヶ月が経とうとしていた。
近頃は仕事が終わると、勘蔵さんと居酒屋『きゅうり夫人』で呑むことが多く、
話す内容はもっぱらこの事であった。
「帰ってこないと言うのは、ミサキがミクを捨てた・・、そう言うコトですか?
勘蔵さんはム所で過ごした長い年月の間、家族のことを思わなかったコトってあるんですか?」
「アッシは塀の中で一度だって家族のこたぁ忘れたことはアリヤセン。
でもねぇ親分さん、3ヶ月もの期間何の音沙汰もない そんな状況でミクをこのままウチで預かり続けるってのはそろそろ限界じゃねぇか・・・って思うワケデシ。」
「ミクちゃん最近ネゴトでママってナイテル、レイカ心イタイデスョー」
同席していた麗華もまた、ミクのことが気にかかって仕方が無いようだった。
「ミクをウチで面倒見ようって言ったのは麗華達じゃなかったか?」
「こんなに長いアイダミサキちゃんカエッテコナイ思わなカタデス。
レイカのヤスウケアイでしたョ。レイカ今頃ハンセイチュウでし・・・。」
多少の日本語の間違いは中国人と日本人のハーフである麗華の愛嬌である。
「じゃぁ勘蔵さん。何故ミサキはミクを放ったらかしで3ヶ月も音沙汰がないんでしょうか?ミサキと一緒に逃げたであろう男も見つからない、
一体何があったって言うんでしょうか?」
毎度毎度、話は振り出しに戻る。
「アッシは親分サンに命を救ってもらったようなモンでし。
姐さんやここで働く皆サンが居るからこそ何とかシャバで生きて行けてる身分。言ってはナラネェ事ってのはワキマエておりヤス・・・」
ゴールの無いスゴロクに最後の升目を加えたのは勘蔵さんの一言であった。
「勘蔵さんもそう思いますか・・・・。」
「シャバってレイカ知らないコトバアルネェ・・・。」
麗華には私と勘蔵さんの会話は何かの暗号にしか聞こえない様子であった。
Re.無題
2003年3月13日日記の更新がえらく滞ってしまいました。
まだまだ寒い日が続いてますね。
今年の櫻の開花予想が出ましたが、
わが町は3月の末日あたりになりそうです。
ダラダラと書いては、更新が止まるこの日記ですが、
もう少しで完結の予定なんですね。。。
しかしなかなか書けないのが現状です。
この仕事に就いて、自分の専門的な知識の無さに呆れ
ちまちま勉強なんかしてるとすぐに睡魔がやって来ます
そして気がつけば朝・・・。
桜が咲く頃にはデリヘル人情劇場を終わらせれるようにします。
追伸:
3万ヒットありがとうございます。
毎日ここを覗いてくださる皆様に心より感謝してます。
そしていつもメッセージをくださる皆様にも本当に感謝しています
今日は、一番最初の日。
あなたの人生の残りの日々で…
Today is the first day
of the rest of your life
英語もシンプルで、
覚えやすい言葉です。
本当に、そうですよ。
今日は、一番最初の日なんです。
昨日まで、
泣けること、
腹立たしいこと、
ショックなこと、
何があったっていいんです。
まだ、今日という日は、
白紙のままで訪れてきます。
昨日までの事柄に、
私たちが束縛されちゃあいけません。
どうしても、
逃れられないことがあるとしても、
昨日とは何かが変わっている自分が取り組めば、
新たな知恵も生まれるかも…なんです。
一番最初の日、大切にしましょう。
*****************************************
1週間ぶりの更新です。
ここで何かと書き始めて一番更新が空いたみたいです。
新たな仕事が始まって、一ヶ月が過ぎましたが、
この間に色々なことがありました。
いいこと、悪いこと、
こんなコトにも出くわすだろう・・・
と思っていたことにもやはり出くわし、
凹みかけたりもしましたが、この仕事に移ってよかったなぁって思えます。
3月はマジメに更新するのら!
をテーマにがんばります(笑
*************************************
メッセージ募集のお知らせ
でりくんにメールを送ろう!
最近めっきりメールが減ったでり君にメールを送ってみませんか?
なぜ減ったのか???
それは皆様よくご存知の『亀レス』だから・・・(汗
delikikaku@hotmail.com
おまちしてます
デリヘル人情劇場 『絆』 その10
2003年2月23日神戸の達也の店からやって来たさとみは決して顔立ちの悪い女性ではなかった。
しかし、いつも何か物思いに更けている感じがしてならない。
生まれつきの雰囲気というよりも、何か自身に問題を抱えている・・・
そんな様子に見えていた。
「麗華、さとみの付いたお客にフォローの電話入れて、さとみの仕事の内容を聞き出しておいてくれないか?」
当店に初めてやってきた者は、まず最初に当店の常連についてもらう。
もちろんそれは、客の顔の見えないデリヘルという風俗において、一見客相手にいきなり付かせ『ハズレ』客に当たってしまい、この世界での寿命を短くさせたくはないという思いがある。
そしてもう一つ。
店側と意思疎通の利く『常連客』に付いてもらい、当店なじみの客から女の子の仕事内容、要するに接客態度やサービスの質を聞き出したいからである。
「アイヨー。マカセテくんなせぇ〜デシ!麗華コンニャノ得意デやんす〜ヨ!」
少々日本語になっていないのは麗華の愛嬌である。
当店【BRUTUS】はめっきり我が子を残して失踪したみさとの話題で持ち切りであったのだが、私の中ではこの「さとみ」のことも気になっていた。
なぜ理由も告げずにいきなりウチに行くように言われたのか?
達也の店で何か大きな問題を起こしたのならば、兄弟店のような当店になぜさとみを押し付けたのか?
また問題を起こす可能性がある女ならば、達也兄の店に泥を塗るような真似をする可能性のある女をウチに連れてゆくワケはない。
当店で働く風俗嬢は一日に5人から6人のお客の相手をし、日払いで平均3万弱の現金を手にして帰ってゆく。
この金額が大きいか小さいかは本人の事情によって異なる
さとみの当店での初日を終え、事務所に帰るり麗華からさとみがついた客の話を聞く
「ン〜〜デスネぇ、お客サン達ミナ同じヨなコト言うデスヨ・・。」
「同じこと?」
「ハイデシ。3番目に付いた天王寺のナカニシさん、言ってたアルネェ。
サトミチャンおニンギョウサンみたいでカワイけど、ホントにおニンギョウさんだて言ってたデスゥ」
「本当にお人形?」
「何シテモ、おニンギョウさんミタイ メが遠くミテタて言ってたデシ・・」
天王寺区に住む仲西という当店の常連は、古くからの付き合いであり新しい女の子が入ると必ず行かせる客である。
彼は客の中でも優しいタイプの客であり、的確に女の子を評価してくれる客でもある。
「客に『人形』と言われたら致命傷だな。
俺らの前でだけアノ表情なのかと思ったら、客の前でもか・・・。
アイツは全くの新人じゃないんだからなぁ、問題だぞ」
「ソウデヤンシねぇ・・・。困ったデシ」
缶コーヒーの白いブツブツは品質上なんら問題ありましぇ〜ん
2003年2月17日=お詫びと訂正=
デリヘル人情劇場『絆』におきまして、
一部登場人物の名前が昨日と今日とで違うじゃねーか!
ってなことになっております。
子供への道徳的にいかがなもんか?
テレビを見るときは部屋を明るくし、なるべく離れて見るべきでは?
というご指摘を予想以上に頂き、
早急に事故調査委員会を発足させましたが、
「ご飯食べたばっかでめんどくさいから」等の理由で
調査委員が召集を拒否し
本日に至るワケであります。
HPでのUP時には修正することをお約束し、
皆様にはご理解とご了承いただき
「ミク」が『ミカ』になっていたとしても
「ミク」っぽく読んで頂けるとこれ幸いです
本名と風俗時代の「源氏名」そして連載用の名前が
オツムの悪い筆者の中でごっちゃごちゃになったために起こったことであり、
缶コーヒーに白いブツブツぃやモトイ
缶コーヒーに白いツブツブがあっても、品質上なんら問題は無いのと
同じ原理であると考えられます。
食間に服用する薬を、メシ食ってる最中に服用してしまうまでの
致命的ミスではないと判断し、このようなお詫びと訂正にて
解決させて頂いたこと、ご了承くださいませ。
≪デリヘル人情劇場 制作委員会≫
でり まさと
マルトミ食堂 今日のおすすめでマッタリするのら♪『ホタルイカ定食編』 本日2本目
2003年2月16日いつものごとく、すこぶる滑りの悪い引き戸引き、ノレンをくぐる。
「いらっっしゃぁぁぁぁ!」
かれこれもう40年近くこの店、
「マルトミ食堂」の看板娘を名乗るおかみさんの声
「今日のおすすめ何?」
「ホタルイカ定食だよ」
「ホタルイカ定食???あんまり他では聞かない定食だね?」
「何言ってんだよ!ホタルイカの漁期は一年のうち数か月
今年の初物なんだよぉ!ホタルイカはビタミンAが豊富に含まれていて、風邪の予防にもなる体にいい魚なんだぁ!あんたもホタルイカ食って新しい仕事でピカッっと光る存在になるんだよ!」
結構うまいこと言うおかみでなのである。
「じゃぁホタルイカ定食で」
「あいよ〜!ホタルワン!」
「・・・」
相変わらず厨房からの返事は無い。
いつもの通り、奥から2番目のテーブルに腰を掛け、茶渋で濁った湯のみにセルフサービスのお茶を注ぎ入れる。そしてこれまたいつもの通り、NHKに合わせてあるチャンネルを民放に変える。
しばらくして、今日のおすすめ『ホタルイカ定食』が運ばれてくる
銀しゃり、豚汁、里芋と鶏肉の味噌煮、そしてホタルイカてんこ盛りと酢味噌が付く
ここの旦那の作る定食の味は一級品。
いかにも頑固一徹といった旦那の作るメシは、
ここへやって来る誰もがうなずく味なのだ
「おめぇホタルイカの目もちゃんと食え!」
暖簾をしまい終えた旦那が言う。
「だってホタルイカの目って堅くて気持ち悪いモン・・。」
「皿にホタルイカの目がごっそり残ってる方が気持ち悪いんだよ!片付ける身にもなれってんだ・・・。」
そういう問題ではないと思うぞマルトミの旦那ぁ。。。
半ば喧嘩腰で強引にホタルイカの目を食わされながらも、この雰囲気が大好きであったりするのである。
「ごちそうさま。おばちゃんいくら?」
「あぃよ!ホタル定食400万円!」
やはりくだらなすぎるギャグは絶対に言う看板娘に愛想笑をし、
ドウ考えても400円は安すぎると今度は心から微笑むのであった。
自分は自分だ。人には、それぞれ与えられた秋(とき)がある。グッドラック!
2003年2月15日人と比べないと、
分からないこともあるけど、
人と比べてばかりいると、
力が出し切れなくなることもある。
それぞれの果物の実る時期が、
違うように、
我々人間にも、実りの秋は異なる。
自分の使命、働きが、
十分に果たせればいい。
それがいつかは、
その時が来てみなければ、
分からない場合もある。
この人に、あの人に、
実りの秋(とき)が来たからと言って、
焦って動いてはいけない。
冷静に動けるのならいいが…
大切なのは、
秋(とき)が来るまで育てること、
そして、それが来たら、
それが短かろうと、長かろうと、
十分に楽しむこと。
いつまでも、
暑い夏じゃあないけど、
いつまでも、
実りの秋でもない。
私はまだ新芽の吹き出したばかりの
雪解けの季節です。
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84歳の利用者さんに
あんたがあのおばぁさんと話してるのを見てると
なんだか腹が立つのよ・・・。
とバレンタインチョコを頂いたでり君です。
やはり
「オレもあの男性利用者さんとあなたが話しているのを見てるとスッゲェ腹立つんだよね!」
と言うべきだったのでしょうか?
嫉妬という感覚は何歳になってもあるんですね。。。
仕事の方は少し慣れたと思うとさらに奥深さを思い知らされ、
悪戦苦闘の毎日です。
この仕事での実りの秋(とき)はまだまだ程遠いようです。
大空が舞台ではないですが、
大空に向かおうとしている方々を見守っているでり君でした(笑)
グッドラック!
(ドラマ見た人しかワカンナイって・・・。汗)
デリヘル人情劇場 『絆』 その9
2003年2月13日新しく当店【BRUTUS】に加入したさとみはデリヘル経験者であるために、
ある程度の説明だけをし、早速当店の常連の所へといってもらうことにした。
私が風俗のノウハウを教わった神戸の店に在籍していたさとみに、今更あれこれと言うこともないのである。
彼女が仕事に行ってる間に、もう一人乗せていたあかねとあれこれと話をした。
あかねは当店を立ち上げる時からの唯一残っている人間であり、
なんだかんだと言って、私はあかねを一番信頼していた。
「アイツは今頃どこに居るんだろうな?」
「ほんとに・・・。」
「オレにはどうしても分からないコトがあんだょ。
ウチからだけでなく、この世界から逃げ出して行くヤツはいくらでも居るわけで、そのこと自身はなんら不思議でもないわけだよ。
その人間は逃げられた店側が追うのか否かを判断さえすればそれでいい話。
でもな、今回は何か違うんだよな・・・。」
「子供を残して逃げた・・・」
「そう。それに手紙も残して逃げた。
逃げるってことはそもそもウチでは居る事が出来なくなった何かがあって逃げるワケなのに、アイツはある意味人質ともいえるわが子をウチに残して逃げてんだよなぁ・・・。
元から帰ってくるつもりならば、オレに相談の一つでもあって話し合ってからどこぞに行けばこんな大袈裟な話にならずに済んでるんだょ・・・。」
「逃げる理由がわからない・・・?」
「そういう事。
今回の行動の意図がさっぱり分からないんだょ・・・。」
「という事は、ミクちゃんをここに残しておきたかった?
ミクちゃんをここに残しておく必要があったってこと?」
「あかねも最近鋭くなってきたなぁ!
つまりはそういう事であるしか考えられないんだょ。
わざわざアイツは仕事の日にウチにミクを預けて客と逃げる必要はないんだよ。
休みの日に子供と一緒にトンズラすればそれで済む話なのに、何でわざわざミクをウチに置いて逃げてるのかが問題なんだょ」
「私達ちょっと刑事ドラマっぽい雰囲気?」
「ははは。こんど風俗刑事ってタイトルのイメージデリヘルやるか・・・。
でもな、そう考えるのが一番答えに近い気がしてきてなぁ、
なんでウチとの接点を切らずに逃げてるのかが分かれば、ミクを置いて逃げた訳が分かって、アイツ自身が逃げなくてはならなかったのかが分かると思うんだ・・・。」
そうこう話してるうちにさとみが仕事から戻って来た。
次の仕事場に向かってる間、さとみは私が神戸から連れて来ていた時と同じように、車窓からただぼんやりと外を見つめているだけだった。
あかねがワザと明るく振舞った所で、彼女の表情が変わることはない。
顔立ちの悪くない彼女がこのように何か物思いに耽る表情をしていると、
風俗の世界において致命的とも言えるマイナスのイメージになるのではないかと心配してしまう。
このさとみが何故ウチに来る羽目になったのかもまた、謎のままであった。
デリヘル人情劇場 『絆』 その8
2003年2月11日風俗嬢は接客のプロである。
一癖も二癖もあるどんなお客に対しても常に自分の身を切り売りしなくてはいけない。
嫌な客に対しても笑顔とサービスの手の弱めることなく、客に自分を売り込み好きにさせる。
『擬似恋愛』をさせることにより自分だけの客にし、指名を取る。
指名の数はそのまま収入に跳ね返る。
金に追われ当店【BURUTUS】にやってきた者達の生きるすべである・・・・。
『オヤブンさん、さとみチャン今日 ドウ スルでス?』
あまりに色々ありすぎ、神戸の達也兄からウチで働くように言われ連れて来たさとみのことを忘れていた。
時計の針はもう午後5時を指していた。
「隣のビジネスホテルに泊まってもらってるから迎えに行ってもらえる?」
「アノ、さとみチャンモウ来てるアルデス」
相変わらずの中国語訛りのしゃべり方をする麗華の後ろにさとみが座っていた。
「じゃぁ今日は最初だから、オレがドライバーで一緒に回るから麗華ウチの常連に営業入れてくれ。一緒に回りながらウチのやり方の説明するから」
「アイヨーでし!」
常連と呼ばれるお客には『固定客』と『浮遊客』と呼ばれる客がいる。
『固定客』とは、一人の風俗嬢に付いている客で、毎回同じ風俗嬢を指名してくる。これは所謂『擬似恋愛』にハマッタ客であり、その風俗嬢だけの客である。ウチのNO1であるシホで言うならば、彼女が相手をする客は9割以上が彼女の『固定客』である。ウチに来る前の店からごっそりとお客ごとやってきており、新規の客の客も軒並みシホの『固定客』となっている。予約だけで向こう2ヶ月の予定が埋まってしまうのだから、固定客を掴むか掴まないかの違いがはっきりと出てくるのである。
一方、『浮遊客』とは特定の風俗嬢を決めていないが当店の客である常連を指す。
毎回違う風俗嬢と遊びたいと思う客も勿論いるわけであり、なお【BRUTUS】を信頼してくれている客である。
それとともに、未だ自分の好みの女の子に出会っていない客も『浮遊客』である。
初めてウチにやって来た者は、まずこの『浮遊客』の中でも質の良い客に「新しい子が入った」と案内の電話を入れ、その客の相手をしてもらうのである。
初めから素性のわからない客の相手をして嫌な思いをさせてはこの世界続かないのである。
午後5時半、さとみの今日の予定も決まり出発となる
「おいあかね!あかねも今日はオレの車な!ほいじゃぁ今日もみなさん頑張るかぁ!」
各ドライバーと事務所に出勤してきている風俗嬢達との簡単な本日のミーティングをした後、営業開始となる。
「ほいじゃぁミク行ってくるからな!おとなしくお留守ばんしてんだぞ」
「あい。おやぶんさんおしごとがんばってね」
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら大きく手を振って笑っているミクを見ていると、
あかねやシホ、並びに当店の従業員がミクに癒されるのが少しわかる気がした。
デリヘル人情劇場 『絆』 その7
2003年2月10日「ミクぅ。おかあさんなぁ、だいじなお仕事で“シュッチョウ”って所にいってもらったんだょ。ミクのおかあさんにしか出来ない大切なおしごとなんだぁ。しばらくここで、おれとかレイカちゃんとお留守ばんできるか?」
「ママはだいじなおしごと?」
「そう。ミクのママにしかオヤブンさんが頼めなかった大切なおしごとなんだ。
ミクここでみんなとお留守ばんできるな?」
「あい。ミクここでオヤブンさんとお留守ばんしますぅ
ミクをよろしくです」
四歳の子供がどこまでの理解力があるのかは分からないのだが、ミクは駄々を捏ねる事もなく、素直に我々の言うことを聞き入れた。
家庭内暴力で離婚したミクの実の父親に連絡を入れることは勿論できず、元刑事でもある鎌田氏、通称ののじいや、店の者達と考えた末ここで暫らくミクの面倒を見ることにした。
失踪したみさきが何時ここに帰ってくるかという保証は一切ない。
もしかすると二度と戻らないかもしれない
その可能性の方が高いかもしれない。
何の罪も無い四歳の子供に、大きな試練が迫っている。
そんな気がしてやまない。
このころデリバリーヘルス【BRUTUS】の事務所には4人が生活をしていた。
ム所帰りの勘蔵さん 受付嬢兼、デリヘル嬢の麗華、そして当店NO1風俗嬢であるシホ、最後に私の4人である。
そこにミクが加わるということで、部屋の移動を行った。
いままで各人に一部屋ずつあったのを勘蔵さんと私が同じ部屋にして、
空いた一部屋をミクが日中遊べる部屋に変えた。
この部屋なら事務所に使っている部屋から一番離れていて、電話の鳴る音もそれほど気にならない。
そしてドライバーの一人で、機械マニアの男がそのミクの部屋に監視カメラを取り付けてくれた。
これでモニターを通してミクの様子が24時間体制で見ることができる。
午後3時頃、外出していたシホと当店のクレーム処理班のあかねが事務所に戻ってきた。
何やら荷物を沢山抱えてのご帰還であった。
「ミクちゃんのおもちゃ買って来ちゃった!イマドキの子供のおもちゃって高いのねぇ!」
日々様々なストレスと戦いながら生きている店の従業員にとって、人見知りもないミクは彼女達の癒しのような存在であった。
「ミクちゃん!これお姉ちゃん達からのプレゼント!ママがおしごとから帰ってくるまで私達がミクちゃんのお友達であってママだからね♪なんでも困ったことがあったら言うんだょ」
「あい。ありがとうございます
ミクこれだいじにしますぅ。」
ペコリとお辞儀をするミクの姿を見て、彼女達はご満悦のようであった。
この先ミクがどうなるのかなんて誰もわからない
世間的に闇のイメージは拭い切れない『風俗』という業界で生きる我々ではあったのだが、
人を思いやる気持ち、人の痛み、苦しみを体の芯から共有し、
ミクという幼い子供を守ってやろうという気持ちは、どんな環境、世界で生きる人々となんら変わらない。
むしろデリバリーヘルス【BRUTUS】で生きる彼女達の中にはそんな人々以上に純真で綺麗な心を持つ者が多かった・・・。
そう思っている
つづく
デリヘル人情劇場 『絆』 その6
2003年2月9日「親分サン。ミカちゃんコレカラ ド なるデスカ・・・。」
みさとが一通の手紙を残し消えてしまった。
何かの事件に巻き込まれたと言うことはないようだが、
店の常連と駆け落ち同然に姿を眩ましたことに変わりは無かった。
しかもわが子を残して・・・。
「手紙にはいつ戻るとか、何処にいるとか書いてないしな
ミカをどうするとか、どうすべきかなんてなぁ・・・・。
ミカを仮に預かるといってももしミカに何かあったらウチじゃ責任取れないだろ?」
みさとが仕事に出ている間、当店【BRUTUS】で預かってはいたが、
いつ帰ってくるかも分からない『よそ様の子供』を四六時中ウチで預かることなんて出来ない。ましてや本当にみさとがミクを迎えに帰ってくるかさえ分からない。
それに当店【BRUTUS】は4歳の子供を育てる環境ではない。
なんといっても闇夜の欲望を満たすデリバリーヘルスの事務所なんだから・・・
「私もこんな風にして施設に連れてかれたのかなぁ・・。
親なんてホント勝手ね。」
シホがポツリとつぶやいた
麗華とシホは幼い頃に施設に預けられて育った。
この二人の前で返す言葉も無い
「自分の意思で出て行ったみさとのことは後から考えるとしてさ、
まずはミクが一番いいようにしてやらないとな。
ミクは何の罪もないょ。そろそろ午前の部が開店するからな、ひとまず今日の仕事に専念しようで。
シホと麗華は少し休んどきな。あかねは10時から受付してくれぇ。」
ぐったりと重たい体を事務所の屋上に持ってゆくと、
空はすっかりと晴れ渡っていた。
眩しすぎる太陽の横の、まだ消えきらない三日月が印象的であった。
デリヘル人情劇場 『絆』 その5
2003年2月2日あかねが泣きながら土下座をしたのには正直驚きはしたのだが、
私の腹の虫は納まらない
例えどんな理由があったにせよ、
客との駆け落ちはご法度であり、何よりもわが子を置き去りにして失踪するなど言語道断であった。
風俗で働く者はみなワケアリである。
しかし、ぶち当たった困難に逃げ出すよりも、たとえ『風俗』というレッテルを貼られてでも自分に真正面から向き合い、がんばってまた、日の当たる社会に戻ってゆければ『風俗』も経験となり自分のコヤシとなるものだと信じている。
そうやって人間は一つずつ大きくなっていくものなんだ・・・。
「親分サン。麗華オモウデスヨ、みさきチャン悪い人チガウデス。
事件てコト考えラレマセンか?」
「事件!?まさか誘拐ってことか?」
「ハイです。」
部屋の空気が一気に凍りつく
「でもな麗華、金に困って風俗で働くヤツを誘拐して何になる?
誘拐ってのは大概が金目当てだぞ・・。
一緒に消えた客はうちの他の姫が相手したことあんのか?
顔見たことあるやついないか?」
「みさきチャンといなくなたオキャク タダて言うオキャクサンネ
最初からずっとみさきチャンオンリーでし。何してる人かワカラナイネ」
デリヘルの盲点は客の顔を知る人間が少ないということだ。
自宅は分かっていたとしても、その顔を見ることは稀であり、
事件となるとあまりに情報が不足する。
とりあえずみさきと多田という客が入ったラブホテルに行くことにした。
ホテルは店から歩いて1分もかからないすぐ近くだった。
シホやあかねといった予約で一日の予定が埋まってしまうもの達が、移動で時間をロスするのを防ぐために、客にホテルまで来てもらい、そこに女性が向かうことで仕事の効率を上げる。
今回のことはそのホテルで起こった。
みさきがホテルに多田と言う常連の客を呼び、事務所からすぐ近くのいつも【BRUTUS】が使っているホテルなので一人で歩いて行くといい、ドライバーを付けずに行った。
受付をした麗華も、幾度となく利用してくれている常連のところへ行くということで、怪しむことはしなかった。
もし私が受付をしていても、同じくみさきを一人でホテルへ向かわしたに違いない。
誰も責めることは出来ない。。。
「おばちゃん。今日の午前2時くらいに503号室にうちの痩せ型で髪の長い女が入って行ったでしょ?何時くらいにチェックアウトしてる?
なんか変わったことなかったかなぁ・・・・」
毎日数部屋を優先的に使わしてもらっているホテルなので、フロントのおばちゃんもうちの女性の顔は何人か知ってる。
「あぁ!503の髪の長い子ね インして30分くらいしてタクシー呼んでねぇ、
二人で出て行ったよ!麗華ちゃんにも言ったんだけど、お客が気分悪くなったから送って行くって言って出て行ったんだゎぁ〜。
でねぇ、その子がもしアンタがここに来たらこれ渡してって封筒預かってんのよ。他の人には言わないでって言われたから麗華ちゃんには言ってないけどね〜
この封筒よ。はい」
汚い茶封筒の中に、一枚の手紙と数万円が入っていた。
でりさんへ。
勝手な真似 本当にごめんなさい。
こうするしかありませんでした
必ずミカを迎えに帰ります。
今は理由も言えません
許して下さい。
探さないで下さい 必ず戻ります。
ミカを宜しくお願いします。 (原文そのまま)
どうやら誘拐ではないようだった・・・。
最近はクタクタなので、まともに書けません。。。予告編のようなあらすじです
2003年1月29日こんばんわ。
新しい仕事に移り、生活習慣と慣れない仕事にクタクタの私
でり君です。
大変ご無沙汰かと思ってみたりみなかったり。。。
皆様はお変わりありませんか?
なんて心配することすら困難な状況っす(>_<")
この日記の本編と言いますか、メインはご存知
『デリヘル人情劇場』
であるのですが、
実は色々と問題もあったりで『絆』編が一ヶ月以上更新されていない!
ということです。
当初の予定では新しい仕事に就く前にデリヘル人情劇場は第一部を終えている予定でしたが、予想以上に転職が早く決まってしまい、こんな状況。
来週あたりからは『絆編』の続編を更新します
デリヘルで働き、ミクという4歳の子供を育てる母子家庭の女「みさき」の失踪、
この親子の絆はいったいこの先どうなるのか!?
神戸の達也というデリヘルのノウハウを教えてもらった人物がいきなり
当店【BRUTUS】で働くようにと押し付けられた「さとみ」という女、
ここにもある一つの絆が隠されていた・・・。
当店レギュラー陣オールキャストの『デリヘル人情劇場』はいよいよ佳境に突入いたします。
更新まで気長にお待ちくださればコレ幸いです♪
メッセージの返事も後日で宜しくお願いします。
ではみなさまごきげんよう・・・
デリヘル人情劇場『絆』
は昨年12月20日頃
このあたりにUPしてあります。
覗いてみてねん☆
新しい仕事に移り、生活習慣と慣れない仕事にクタクタの私
でり君です。
大変ご無沙汰かと思ってみたりみなかったり。。。
皆様はお変わりありませんか?
なんて心配することすら困難な状況っす(>_<")
この日記の本編と言いますか、メインはご存知
『デリヘル人情劇場』
であるのですが、
実は色々と問題もあったりで『絆』編が一ヶ月以上更新されていない!
ということです。
当初の予定では新しい仕事に就く前にデリヘル人情劇場は第一部を終えている予定でしたが、予想以上に転職が早く決まってしまい、こんな状況。
来週あたりからは『絆編』の続編を更新します
デリヘルで働き、ミクという4歳の子供を育てる母子家庭の女「みさき」の失踪、
この親子の絆はいったいこの先どうなるのか!?
神戸の達也というデリヘルのノウハウを教えてもらった人物がいきなり
当店【BRUTUS】で働くようにと押し付けられた「さとみ」という女、
ここにもある一つの絆が隠されていた・・・。
当店レギュラー陣オールキャストの『デリヘル人情劇場』はいよいよ佳境に突入いたします。
更新まで気長にお待ちくださればコレ幸いです♪
メッセージの返事も後日で宜しくお願いします。
ではみなさまごきげんよう・・・
デリヘル人情劇場『絆』
は昨年12月20日頃
このあたりにUPしてあります。
覗いてみてねん☆
『VIPなお客』VOL.3 完全無欠のエロじじぃ 完結編
2003年1月25日次回完結と書きつつも長くなったので分割しました。
その4は24日にUPしましたのでそちらからどうぞm(__)m
:::::::::::::::::::::::::::::
「お前さっきから何を根拠に熱弁振るってんだ?証拠でもあるのか?
だからコレは事故だって言ってるだろうが!お前ヤクザか?
言いがかり付けて金取ろうって腹か?汚い仕事で金に群がるハイエナだなお前らは!
もういい!二人ともさっさと出て行け!ハイエナが偉そうにしてんじゃないぞ!
出て行けハイエナ!」
死ぬまでこのクソ餓鬼の言葉は忘れない
我慢も限界。このクソ餓鬼を殴ってやろうとした瞬間
シホが俳優※※めがけてドロップキックを炸裂させた。
シホのドロップキックは中国要人に御見舞いして以来2度目だった。
腹にドロップキックをモロに受けた俳優※※はうずくまる。
やりすぎじゃない?とこちらが引いてしまうほどだった。
「お前ら訴えるぞ!?傷害だ!ショウガイ!
仕事に差し支えがあったらオレの慰謝料いくらになると思ってんだ!」
「・・・。」
「もういいよ。シホかばんからアレ出せ」
シホがかばんからカセットプレーヤーを取り出す。
電気屋で購入した一個700円のものだ
「シホからアンタのところに行ったらカバンを物色されてる様な気がする。
って聞いていたので今日は録音用に入れさせといたんだよ。
ここにアンタとシホのやり取りは全部録音されてるってコトなんだよ・・・。
アンタが訴えるってんならこっちも証拠にこのテープ出すぞ!?
それとも何か?シホに怪我させといて偉そうにゴタク並べといてもしかすると、
シホがシャワー入ってる隙にカバンを物色してるハイエナ俳優の音まで入ってるかもしれないぞ?
なんならここで聞いてみるか!?」
このカセットプレーヤーはもちろんダミーで録音されている訳もなく、
そもそもテープすら入っていない。
何かのために入れておくと便利だと言う仲間の店から教えてもらったもので、
全員のカバンに入っている。今やデリヘル関係者の中ではデリヘル7つ道具の1つとして重宝されている。
しかし、このクソ餓鬼俳優が、もし本当に録音されていたとして、
シホをテープの最長時間の2時間を過ぎた後に殴っていたと分かっていても
テープを聞かせろと言えないのを私は知っていた。
盗耳君で聞いているときに、シホのカバンを物色する音をバッチリ聞いたことをとっさに思い出したのだった。
物色魔がテープを聞かせろと言えるわけが無いのである。
代打逆転ホームラン
「もういい!こんなくだらないお遊びは二度と御免だ!
こんな汚い連中を訴えても無駄だ
水に流してやるからこの部屋から出て行ってくれ!
オレは明日も早いんだよ!出て行け!」
「そうですか。こっちももう反吐が出るほどうんざりです。
お時間までまだありますし、あとから金だけ取られたなんて言われたら気分悪いですので
頂いた御代は全額お返しします」
シホから金を受け取り彼に差し出すと、俳優※※はヌケヌケと手を伸ばしてきた。
金を掴もうとしたその瞬間に札を手から離し、彼の手首を掴み一発だけ殴って部屋を出た。
「すみませんでした・・。と言うかありがとうございました」
「そんなことはどうでもいいけど、シホの言った面白いことってどこまでなんだよ?」
「あの人がMになって悶えるとこまでです・・・。」
「なんだよ・・・。最後までかと思ったし。。。」
「殴られたのは初めてです。。。」
「まぁもう終わったことだし、いつまでも泣いてんじゃないよ・・。
スーツ着てるオレが、泣いて鼻水垂らしてる体操着姿の童顔の女の子と、
廊下歩いてるところ誰かに見られたら警察呼ばれるって・・・・。」
「でもちゃんと聞いててくれたんですね!今日のアタシの声どうでした?
もしかして興奮した?(笑)」
「興奮はしないけど、まぁそれなりにいい仕事だったょ・・・」
-おわり-
中国要人出張サービスの話は
http://diary.note.ne.jp/25762/20020928
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その4は24日にUPしましたのでそちらからどうぞm(__)m
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「お前さっきから何を根拠に熱弁振るってんだ?証拠でもあるのか?
だからコレは事故だって言ってるだろうが!お前ヤクザか?
言いがかり付けて金取ろうって腹か?汚い仕事で金に群がるハイエナだなお前らは!
もういい!二人ともさっさと出て行け!ハイエナが偉そうにしてんじゃないぞ!
出て行けハイエナ!」
死ぬまでこのクソ餓鬼の言葉は忘れない
我慢も限界。このクソ餓鬼を殴ってやろうとした瞬間
シホが俳優※※めがけてドロップキックを炸裂させた。
シホのドロップキックは中国要人に御見舞いして以来2度目だった。
腹にドロップキックをモロに受けた俳優※※はうずくまる。
やりすぎじゃない?とこちらが引いてしまうほどだった。
「お前ら訴えるぞ!?傷害だ!ショウガイ!
仕事に差し支えがあったらオレの慰謝料いくらになると思ってんだ!」
「・・・。」
「もういいよ。シホかばんからアレ出せ」
シホがかばんからカセットプレーヤーを取り出す。
電気屋で購入した一個700円のものだ
「シホからアンタのところに行ったらカバンを物色されてる様な気がする。
って聞いていたので今日は録音用に入れさせといたんだよ。
ここにアンタとシホのやり取りは全部録音されてるってコトなんだよ・・・。
アンタが訴えるってんならこっちも証拠にこのテープ出すぞ!?
それとも何か?シホに怪我させといて偉そうにゴタク並べといてもしかすると、
シホがシャワー入ってる隙にカバンを物色してるハイエナ俳優の音まで入ってるかもしれないぞ?
なんならここで聞いてみるか!?」
このカセットプレーヤーはもちろんダミーで録音されている訳もなく、
そもそもテープすら入っていない。
何かのために入れておくと便利だと言う仲間の店から教えてもらったもので、
全員のカバンに入っている。今やデリヘル関係者の中ではデリヘル7つ道具の1つとして重宝されている。
しかし、このクソ餓鬼俳優が、もし本当に録音されていたとして、
シホをテープの最長時間の2時間を過ぎた後に殴っていたと分かっていても
テープを聞かせろと言えないのを私は知っていた。
盗耳君で聞いているときに、シホのカバンを物色する音をバッチリ聞いたことをとっさに思い出したのだった。
物色魔がテープを聞かせろと言えるわけが無いのである。
代打逆転ホームラン
「もういい!こんなくだらないお遊びは二度と御免だ!
こんな汚い連中を訴えても無駄だ
水に流してやるからこの部屋から出て行ってくれ!
オレは明日も早いんだよ!出て行け!」
「そうですか。こっちももう反吐が出るほどうんざりです。
お時間までまだありますし、あとから金だけ取られたなんて言われたら気分悪いですので
頂いた御代は全額お返しします」
シホから金を受け取り彼に差し出すと、俳優※※はヌケヌケと手を伸ばしてきた。
金を掴もうとしたその瞬間に札を手から離し、彼の手首を掴み一発だけ殴って部屋を出た。
「すみませんでした・・。と言うかありがとうございました」
「そんなことはどうでもいいけど、シホの言った面白いことってどこまでなんだよ?」
「あの人がMになって悶えるとこまでです・・・。」
「なんだよ・・・。最後までかと思ったし。。。」
「殴られたのは初めてです。。。」
「まぁもう終わったことだし、いつまでも泣いてんじゃないよ・・。
スーツ着てるオレが、泣いて鼻水垂らしてる体操着姿の童顔の女の子と、
廊下歩いてるところ誰かに見られたら警察呼ばれるって・・・・。」
「でもちゃんと聞いててくれたんですね!今日のアタシの声どうでした?
もしかして興奮した?(笑)」
「興奮はしないけど、まぁそれなりにいい仕事だったょ・・・」
-おわり-
中国要人出張サービスの話は
http://diary.note.ne.jp/25762/20020928
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部屋の前まで来ると、ドアの中から口論する声が聞こえた。
が、このまま部屋をノックしたところで鍵が開く訳でもなく、どうしたものか?と悩んでいた。何しろコチラは盗耳君で聞いていただけであり、2人のやり取りは彼からすると知っているはずもなく、騒ぎを聞いてやって来たなんてコトは言えないのである。
しかしこのクソ俳優だけは懲らしめてやらねばならないのである。
人の店の従業員をド汚い侮辱の言葉で貶し、殴ったのである。
もしシホの方が悪かったとしても、まず彼女をかばい助け出すのが店長としての務めである。
しばらく良い方法を考えてはみたものの、案が浮かばない。
まぁこうなればなるようにしかならない・・・。
コンコン・・・
部屋をノックしてみた。
コンコン・・・
もう一度。
しばらくすると俳優※※が自らドアを開けた。
まず少し開いたドアから部屋に片足を突っ込み入れる
ドアを閉められないようにする為である。
「店の者ですが、傍を通ったら何やら口論が聞こえたように思いまして、もしかするとウチのシホが何か粗相でもしたのでないかと心配になりまして・・・。
大変失礼とは思いましたが、ノックさせていただきました・・・。」
「いや、何もない。時間までまであるだろうだろ、心配はいらないので帰ってくれ」
「そうでございますか・・・。申し訳ありませんでした。
では一度、シホをここまで呼んで頂けますか?話が少しだけありますので、
こんな時間に申し訳ありません。」
「いや、もう彼女は横になっているので帰ってもらえないかな・・・」
ドアを強引に開けようとすると、奥からシホが顔を覗かせた
そのシホの口からは少しではあったが血が流れていた。
「怪我してるようですが、何かありましたか?
ここでは何ですので、中に入れさせてくださいますか」
強引に部屋に入る。
「申し訳ありませんが、何故シホが怪我しているのか説明願えますか?」
「いやぁ、少し張り切りすぎてね、私の頭がシホちゃんの顔に当たってしまったんだ。申し訳ないことしたねぇ。それで今慌てて怪我の手当てをしていたところだったんだよ・・・。オレもまだ若いな」
さすが俳優と言うべきなのか、動揺もせずウソがすらすらと出てくる
「それでシホが泣いているという訳ですか・・・。
この子はウチでも一番我慢強いヤツなんですがね、頭打った位で泣くようなヤツじゃないんですよ・・・。
それしきで泣くようじゃお客様のご希望のプレイなんて勤まるはずがないですからね。
『プレイ中』で泣くわけがないんですよ・・・。
泣くとすると、嫌と言うのに強引に本番行為を強いられるか、卑劣な侮辱、それか『プレイ』とは程遠い暴力だけです」
俳優※※の顔色が変わる
「お前、するとオレがこの子に暴力を振るったとでも言いたいのか!?お前がこの店の責任者か?客に対してなんてこと言う店なんだんだよ!オレとこの子の付き合いはお前の店に来る前からの長いものなんだよ!邪魔だからさっさと出て行け!」
頭から湯気が吹き出るほど腹が立つ。
ニヤつきながら言い放ったこの言葉は一生忘れない
「俳優のくせに芝居がクサイんだょ・・・。
お前何様だ?付き合いとかって言葉うれしそうに使ってんじゃねーぞ
これは仕事なんだよ・・ただの仕事。
あんたのような薄汚い客でも我慢して客に接客しないといけない情けない仕事なんだよ!でものぅ、アンタのように芯から腐りきってる情けないヤツと一緒にすんなよ。こっちは胸張って情けない仕事やってんだよ!」
空気が一機に凍る
言い過ぎたか??